『ケルベロス第五の首』読了、『ファム・ファタール』

 ジーン・ウルフの『ケルベロス第五の首』を読み終わったんだけど、スゴイ面白い。SFなんだけど、スタージョンの『海を失った男』と同じように、そういったジャンルを超えてすばらしい小説です。
 話としては、サント・クロアおよびサント・アンヌと呼ばれる双子惑星が舞台で、そこには昔アボと呼ばれる原住民がいて絶滅したといわれるが、それは相手をまねて変身する能力をもっていて生き残っているのもいるらしい…、という設定。本自体は3つの中編によって構成されていて、それを読み進めるに従って3つの中編を貫く話が明らかになってきます。読み進めるにつれて互いの関連が徐々にわかってくるという”読む快楽”の部分は、ガルシア・マルケスとかバルガス・リョサとかドノーソなんかのラテンアメリカ文学に通じるものがあります(この本読んで思い出したのはドノーソ(ドノソ)の『夜のみだらな鳥』)。また、文章もすばらしく、特に最初の中編「ケルベロス第五の首」の一人称語りは、非常に端正で謎に満ちた世界にぐいぐいと引っ張り込まれます。今年読んだ小説ではスタージョンの『海を失った男』と双璧。

 ケルベロス第五の首未来の文学

 
 あと、夜ビデオでブライアン・デ・パルマの『ファム・ファタール』を見た。「ファム・ファタール」って「運命の女」とかいう意味なんだけど、この映画は男がその運命の女に翻弄されるというより、「運命の女」側の話です。出だしのダイヤを盗むところは『ミッション・インポシブル』なんかを思い出させるデ・パルマならではシーン。まあ、そこだけじゃなくてこの映画は画面分割とか不必要にエロいシーンとか、デ・パルマ節炸裂。最後のオチは「なんだよ」って感じだけど、この辺もB級さの抜けないデ・パルマならでは?

 晩ご飯はスパゲッティミートソース