数土直紀『自由という服従』を読み終わる。今まで数理社会学の本というと、「囚人のジレンマ」に代表される現実的にはあまりあり得ないような設定をメインに話を進めるという、ふつうの人にはなじみにくい所があったのですが、この本はあえて身近で時事的なネタを俎上に乗せることで、そこのところで果敢なチャレンジ行っている本です。
その結果はというと、サッカーの代表選考でのトルシエに服従しないことができる中田と服従せざるを得ない中村俊輔をとりあげた第2章は説得力あり。合理的な抵抗がかえって支配関係を強化してしまうOLについての第3章もけっこういい線。ただ、そのあとの自由恋愛と建築労働者の世界について分析した章は、価値判断が色濃く出てくる問題だけに、この本のアプローチだけだとやや不満が残る。
ただ、新書としては読み応えがありますし、こういう本はけっこう必要なんだと思います。
数土直紀『自由という服従』
あと、今日は本屋で論座の北田暁大の文章立ち読みして、そこで言及されていたちくま新書の赤川学『子どもが減って何が悪いか!』を購入。「男女共同参画が進めば少子化が止まる」ということに疑問を呈した本。いままでセクシャリティの問題を論じてきた著者だけにちょっと楽しみ。
赤川学『子どもが減って何が悪いか!』
それとブックオフで椎名林檎の”真夜中は純潔”を105円で見つけたので買っておいた。けっこう好きなんだけど、実は持ってなかった。