ネグリ、ハート『』読了

 アントニオ・ネグリマイケル・ハート『<帝国>』をようやく読み終わる。今年の年始あけから読み始めてたから、読み終わるのに1ヶ月以上かかった。もともと去年の6月頃に古本屋で見つけて買ったんだけど、ほんとようやく。非常に評判になった本ですけど、これだけ時間がかかった理由ってのは、長い(500ページ超)+いまいち。
 現在の国際社会を見る上で、今までの国民国家の枠を越えて広がる<帝国>という権力の概念は魅力的だし、「帝国の手先としてのNGO」とか「反グローバリズムでは<帝国>には対抗できない」など、「資本主義と帝国主義の対立関係」とか興味深いところも多いし、ヴィジョンとしてそれなりの有効性があると思うんだけど、あまりに具体性がない。やはり具体性がないと議論は生きてこない。この本で主張されるマルティチュード(群衆)の力の勃興にしても、あまりに漠然としていてほんとにそんな力が勃興しているとも思えないし、<帝国>の分析も単なる現象の後追いのようで物足りない。例えば、ルーマンの名前とかも出てくるんだけど単に名前を出してきただけで、著者が本格的にルーマンの社会理論を検討したとは思えないんですよね。ネグリと同じイタリア人のアガンベンの本は、興味のない人も読むべきだと思うけど、これはまあ好きな人が読めば…って本ですね。
 ネグリ、ハート『<帝国>』

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