ちょっと古いけど月曜のTBSの原爆ドラマについて

 月曜の夜は旅先で、一緒に行った友人とは別々の部屋だったんで、TBSでやっていた「広島・8月6日」を後半のほうだけ見たんだけど、エンディングが問題だろ。
 ストーリー自体はそれぞれいろいろな事情や夢を抱える松たか子加藤あい長澤まさみの三姉妹が原爆に遭うというありがちな話で、まあセットとかよくできていたし、松たか子とかは手堅かったんでドラマ的にはそこそこだと思うんだけど、最後は被爆者たちのけっこうグロい映像をバックに夏川りみの”涙そうそう”。これは明らかに変だし、間違ってる。
 ”涙そうそう”は非常にいい歌だし、僕も好きだけど、基本的にはセンチメンタルに泣かせる歌。それならバックはドラマの回想シーンにすべきで被爆者の映像はミスマッチ。だいたい、ここでの被爆者の映像は「泣かせるため」、あるいは「ドラマへの批判を封殺するため」に使われているとしか思えず、倫理的に間違ってる。泣かせたいのであれば、あくまでも泣かせればいいし、ああいった被爆者の映像を使うのならば音楽もドラマの内容自体ももっと禁欲的にすべき。
 残酷さという「強度」によって、戦争に反対させようという手は、戦争に反対する人たちが行うもっともいやな行為の筆頭で、こういった形での「残酷さの動員」は、ほんと間違っていると思う。こういうことをする人は、戦争賛美者と同じく、戦争のある種の崇高さにとらわれているとしか思えない。

晩ご飯は麻婆豆腐とキュウイ