来週は選挙だけど、同時に最高裁判所裁判官の国民審査もあるってことで、ちょっと調べてみた。今回、審査の対象になるのは古田佑紀、中川了滋、堀籠幸男、今井功、津野修、
才口千晴の6氏。
いろいろ見たけど
http://homepage2.nifty.com/misoshiru/mg/shinsa.htm
このページがわかりやすかったんで、主にこのページをもとに分析しました。
- 古田佑紀
検事・法務省官僚から最高裁判事へのルートで、まだ就任したばかりなので関与した裁判は特になし。ただ、通信傍受法の制定に関わっており、少年法に関しても厳罰主義者っぽい。全体的に治安主義者っぽいかんじがするんで×候補。
- 中川了滋
前職は日弁連の副会長。ライフスペースの高橋代表(「定説です」の人)に殺人罪を適用。特に問題なしかな。
最高裁の事務総長などをしていた人。この人もまだなって日が浅く。あんまり見るべき判決はない。
ずっと裁判官としてやってきた人。岐阜県可児市の電子投票のトラブルをめぐる裁判で選挙の無効を命じたり、新しい病院開設の申請に対して県知事が回答した「中止勧告」も、行政取り消し訴訟の対象となるか?という訴訟で、行政訴訟の対象になるとの判決を出したり、おおむねまっとうな判決を出している気がする。次期長官候補らしいです。
- 津野修
内閣法制局長をつとめた人。福井県職員の「カラ出張」問題で文書公開を命じたり、また、次のような事件に判決を出している。
● 2005/01/10 強盗か? それとも、窃盗+脅迫か?
被告は2004年1月、埼玉県越谷市の民家から財布などを盗んだ。約1キロ離れた公園で中身を調べたところ約3万円しか入っておらず、30分後に再び盗みに入ろうとしたが、この家の主婦に見つかり、ナイフを振り回して脅した。
◆原審(懲役5年)を破棄・差し戻し(本件は強盗罪ではなく、窃盗+脅迫の事例ではないのか。その線でやりなおせ)◆
→ 誰からも発見、追跡されずに犯行現場を離れ、ある程度の時間を過ごしている。その時点で、窃盗の実行行為はいったん途切れており、事後強盗罪(窃盗の機会の継続中に、暴行や脅迫があったことが必要)の成立を否定。
この辺りの判決も、まあ、妥当かなと。
- 才口千晴
弁護士出身で多くの倒産事件を手がけてきた人。最高裁判事としては多くの名誉毀損事件を担当していて、鈴木宗男が新潮社を訴えた事件、安部英が櫻井よしこを訴えた事件では、それぞれの訴えを却下。文春の遺跡ねつ造疑惑報道で別府大の教授が自殺事件では文春に慰謝料の支払いを命じている。非嫡出子(婚外子)の法定相続分を、嫡出子の半分としている民法の規定は、法の下の平等に反しないか?が争われた裁判では、法のもとの平等に反するとの少数意見を提出。国立の高層マンション訴訟では、条例施行前に工事は始まっており、工事差し止めを行わなかった都の対応は適法とする。きわめて真っ当な判決を下している。大分県職員が、議員野球大会の応援に公費で出張した事件で、出張の違法性を認めながら、損害賠償までには至らないとした判決にはやや不満があるけど、まあ基本的に問題ないかな。
というわけで、今のところ×候補は古田佑紀くらい。