ルーマン『情熱としての愛』読了

 忙しかったり、訳が固かったりで一月以上かかってようやく読み終える。けっこう細切れで読んだので、ここでうまくまとめることはできないけど、この本はルーマンの本の中ではゼマンティク(人々の間で通用する一種の意味のストックのようなもの)の分析が前面に出ている本。愛というものが、はじめは「度を超したも」というかたちで捉えられ、「結婚」とも対立するものとして認識されていたのが、「友愛」の概念などと関係しつつ、「愛に基づく結婚」が成立していく過程などが詳述されています(ルーマンの分析はもっと細かい)。
 それにしても、17、18世紀の恋愛小説などさまざまな愛にまつわる言説が引用されている本書を読むと、ルーマンの知識の広さには驚きを通り越してあきれるくらい。

情熱としての愛―親密さのコード化
ニクラス・ルーマン
4833223635