R.A.ラファティ『宇宙舟歌』読了

 国書刊行会未来の文学>シリーズのR.A.ラファティ『宇宙舟歌』を読了。毎回期待を裏切らなかった<未来の文学>シリーズだけど、これも面白い!
 ホメロスの『オデュッセイア』の宇宙版という話で、一種のドタバタコメディみたいなところがあるんだけど、いわゆる並にドタバタコメディを突き抜けている小説。この手の再解釈というかパロディものってのは最近の文学の常套手段でたいして面白くないものが多い中で、この『宇宙舟歌』はそのアイディアというか法螺のスケールの大きさが際立っている。
 日が暮れるまで戦い合い殺し合い、そして翌日にはまた甦る巨人たちの国を描いた第二章とか、「人間が知覚しないものは存在しない」という哲学的な観念に従って?宇宙のあらゆるものを知覚し続ける男の話とか、ラファティのアイディアの広がりを感じることができます。

宇宙舟歌
R.A. ラファティ R.A. Lafferty 柳下 毅一郎
4336045704


晩ご飯はおでん