舞城王太郎『阿修羅ガール』読了

 舞城王太郎阿修羅ガール』を読了。今さら感もあるけどやっぱり面白い。とにかく、「減るもんじゃねーだろととか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。」という冒頭の文から始まる、女子高生のしゃべり言葉で書かれたこの小説はとにかくハイテンション。そしてテンポがいい。語り方としては過剰すぎるんだけど、とにかく文体にスピードがある。内容的には、第三部がややもたついて説明っぽい感じですが、第一部と二部をあのスピードで突っ走ればそのまま読めてしまう感じ。
 それと、今回この小説を読んで思ったのは、舞城王太郎はW村上でいうと、明らかに村上春樹的なタイプ。過激な暴力描写とかから村上龍のほうを連想してしまいがちかもしれませんが(実は村上春樹のほうが暴力の描き方はうまいと思うけど)、この『阿修羅ガール』でも異世界とか過去の伝承とかオカルト的な感覚の描写とか村上春樹的なモチーフが数多くあると思う。特に文庫本に収録されている「川を泳いで渡るヘビ」は、会話文さえ入れ替えれば村上春樹の短編って言っても違和感がない。覆面作家舞城王太郎斎藤環の区分で言うと、間違いなく「ひきこもり系」、つまり村上春樹と同じカテゴリーの作家なんでしょうね。

阿修羅ガール
舞城 王太郎
4101186316


晩ご飯はおでん