舞城王太郎『暗闇の中で子供』読了

 舞城王太郎『暗闇の中で子供』を読了。デビュー作の『煙か土か食い物』の続編にあたる作品で、今度は『煙か土か食い物』の主人公の兄である三郎が主人公になっている。三郎は売れない三文ミステリー作家という設定で、スーパーマンであった四郎に比べると、謎解きの展開は遅く、また謎解き自体もきちんとしたミステリーを期待していると完全に肩すかしを食う。
 ジム・トンプスン的なミステリーだった前作に比べると、今作はそれ以外の家族の歴史とか母と子の関係とか恋愛話とか、かなりいろいろなものを詰め込もうとしており、正直小説としての完成度は低くなっていると思う。謎が解けた後の展開もちょっと長過ぎ。
 ただ、この作品で早くも感じるのが舞城王太郎村上春樹的な資質。三郎が家で出くわす幽霊の話とか、三郎の父と母の出会いの話とかはものすごく村上春樹的なエピソードだと思う。マネといってもいいくらいなんだけど、それにしてはそうした部分はうまくかけてると思う。

暗闇の中で子供―The Childish Darkness
舞城 王太郎
4061822063


晩ご飯は豆乳鍋