名作再訪『市民ケーン』

 「再訪」と書いてけど、実はこれは完全な初見。いろんなアンケートとかで映画史上のベスト1にあがる作品がどんなもんか見てみました。
 まず、これは非常に凝った映画。やや過剰とも思える設定、「バラのつぼみ」という言葉をキーワードにサスペンス仕立てで引っ張るシナリオ、時系列を行ったり来たりする構成、そして非常に人工的で工夫を凝らしたカメラと、隅々まで作り込まれた映画です。
 で、思ったんだけど、最近登場してきたデヴィッド・フィンチャーとかクリストファー・ノーランといった監督って、この『市民ケーン』的なつくり込みを復活させたと言えるんではないでしょうか?
 『市民ケーン』のバーのネオンから天窓、そしてバーの中へとカメラが動く所なんか最近の監督がいかにも撮りそうな画。また設定とか構成なんかも、けっこう『市民ケーン』と共通するものがある。サッチャー図書館の必要以上に広くて無機的なつくりなんかも、最近の映画を思い起こさせるものがある。
 映画史上の最高傑作かと言われれば、それは疑問ですけど、やっぱ構成に影響を与えた映画だとは思う。