斎藤環・酒井順子『「性愛」格差論』

 日曜は祖母の49日の法要で姫路へ。その中の新幹線で読んだのが、中公新書ラクレ斎藤環酒井順子『「性愛」格差論』。斎藤環酒井順子の対談本で、「負け犬」、「おたく」、「ヤンキー」、「腐女子」について語って行くという内容で、新幹線に乗っている間にあっというまに読めました。
 まあ、もともと対談本だから読みやすいというのもあるけど、内容的にも面白い。もともと斎藤環のけっこう大胆な思いつきというのは大好きで、この本での一番のそれは「キムタクという人はある意味、ヤンキー文化のもっとも洗練された体現者だと思いますね」(125p)という部分なんですけど、それ以外にも切り込み隊長こと山本一郎氏について、「30代にして童貞だということで多大な共感を集めている。実は「童貞詐称疑惑」なるものまであって(笑)、そんな疑惑があること自体、彼の人気のポイントを如実に示していますよね」(175〜176p)とか、それほど厳密に考えられているわけでもないけど,思わずニヤリとさせられるような部分が多いです。
 一方の酒井順子の方も、青春時代にケータイがなくてよかったと言い、「ケータイが存在するがゆえに、自分の人気度というものが常に他人に知られてしまう」(75p)と述べてる部分とか、「「不良は本当はいい奴なんだ」という信仰があるような気がします」(127p)とか、ちょこちょこっと鋭いことを言っていて、対談の回転具合としてもいいですね。
 タイトルは『「性愛」格差論』で、非婚社会とかを論じた感じになってますが、もっと幅広く若者や現代社会について論じている本で、特に「ヤンキー」の部分なんかは、「ヤンキー文化」を取り上げた本がない中で貴重なものだと思います。

「性愛」格差論―萌えとモテの間で
斎藤 環 酒井 順子
4121502140


晩ご飯はジンギスカン風炒め物と冷奴