ジーン・ウルフ『警士の剣』読了

  今日は剣道部のインター杯支部予選で八王子みなみ野の東京工学院まで。いつもの片倉高校とは違い、やたら広いし豪華な施設でしたが、朝早いし雨降ってるしで、片倉方面にくるとろくなことないな、と思ってたら、男子の団体で支部予選突破しちゃいましたよ。

 「新しい太陽の書」シリーズ第3巻、ジーン・ウルフ『警士の剣』を読了。(第1巻『拷問者の影』についてはhttp://d.hatena.ne.jp/morningrain/20060504#p1を、第2巻『調停者の鉤爪』についてはhttp://d.hatena.ne.jp/morningrain/20060514を参照)
 この第3巻ではセヴェリアンがスラックスの街で拷問者組合を追放されたときに紹介された仕事についている所から始まるわけですが、そこでペルリーヌ尼僧団の格好をしたサイリアカという女性と会い、そしてドルカスの秘密がほのめかされ、そのドルカスと別れ、セヴェリアンは再び旅に出ます。
 第3巻の中盤は多少だれる感じがなくもなくて、少年セヴェリアンとの魔術師に捕まるエピソードなどは特になくてもいいような気もするのですが、そのあとは再びSF的な謎が現れはじめ、再び物語は加速しはじめます。冷凍されていたテュポーンとピアトン、そしてダロス博士とバルタンダーズの秘密など、いよいよ中世的世界に隠された宇宙レベルでの文明の姿が見え始め、そして第4巻の『独裁者の城塞』へと半紙を引っ張るのがこの第3巻。そして次がいよいよ最終巻。

 相変わらず文章はいいんですが,今回も印象に残った警句を一つ。

 そもそも自分が孤独の時は、ある意味で個性を失うものだと信じている。つぐみや兎にとって,私はセヴェリアンではなく、人間であった。完全に孤独であることを好む多くの人々は、そして特に,荒野で完全に孤独になるのを好む人は、そのようになると私は信じる。なぜなら、そういう人はそういった役割を演じるのが好きなのだから。しかし、わたしはまたある特定の人物に戻りたいと思った。そして、自分が他人とは違う存在だということを映し出してくれる、他人という鏡を見たいと思った。(287p)

警士の剣
ジーン ウルフ 岡部 宏之
4150107246


晩ご飯は麻婆豆腐とキュウリ