スティーヴン・レヴィット , スティーヴン・ダブナー『ヤバい経済学

 スティーヴン・レヴィット , スティーヴン・ダブナー『ヤバい経済学』を読了。ちょっと前から話題になっている本だけど、やっぱり面白い。
 シカゴ大で経済学を教えるレヴィットとジャーナリストのダブナーが組んだこの本は、単なる経済学の本というよりは、経済学を中心とした社会科学の手法を駆使してどれだけ世の中の裏側を探ることが出来るか?という本。本の内容的としてはパオロ・マッツァリーノの『反社会学講座』なんかに近い面もあるけど、こっちのほうがより過激だし、何よりもレヴィッとの頭の良さが図抜けている。
 自分のクラスの生徒にいい成績を取らせるためにインチキをする教師をあぶり出すためのデータの活用法や、大相撲の力士の八百長の証拠、アメリカ人が人種差別をどのように捉えているかを考えるための材料など、レヴィットという人でなければ思いつかないのではないかという発想と分析力が十分に味わえます。
 そして、なんといってもこの本で衝撃的なのは、「アメリカで1990年代以降急激に犯罪が減りはじめたのは中絶が合法化されたからだ」と結論づける第4章。すべての人が反発しそうな結論ですが、この議論にはかなり説得力がある。ある意味、中絶大国日本の治安のよさも説明できちゃいますよね。
 経済学に前々興味がない人が読んでも楽しめる(人によっては怒る)本だと思います。

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
スティーヴン・レヴィット スティーヴン・ダブナー 望月 衛
4492313656


晩ご飯はジンギスカン風炒め物とキュウリ