『ブラック・ダリア』

 今日は、家でJリーグの浦和ー川崎戦を見るか、『ブラック・ダリア』を見に行くかでさんざん悩んだんけど、結果的に『ブラック・ダリア』を見に行って正解だった!(もっとも、浦和ー川崎も相当面白かったみたいなんだけど)
 なんかネットとかの評判はいまいちっぽいけど、そんなことはない。今年の映画の中でベスト3には入る面白さだったと思う。

 原作はジェイムズ・エルロイで監督はブライアン・デ・パルマデ・パルマの作品のもつB級臭さには当然賛否があるだろうけど、この映画では40年代後半のロス市警、猟奇犯罪、ハリウッドの裏側的部分などのいかにもっぽい部分がデ・パルマのもってるものとピッタリ合ってると思う。
 ストーリーが複雑でわかりにくいという声もあるようだけど、ミスター・アイスとミスター・ファイアと呼ばれる2人の元ボクサーの警官、スカーレット・ヨハンソン演じる白い服を来た貞淑にみえるケイとヒラリー・スワンク演じる黒いドレスを着た奔放なマデリンという2人の”ファム・ファタール(運命の女)”(実は死体として登場するエリザベスこそが一番のファムファタールなのでしょうけど)。仲間の警官には必ず裏があるとか、ファムファタールと主人公は必ずできちゃうとかいう話の流れに納得できれば、そんなにストーリーが終えないってもんでもないと思う。
 心配された主人公役のジョシュ・ハートネットとですが、個人的には非常によいと思う。あんまり大げさな演技をしないで、ファムファタールに見入られる役を好演。そしてマデリン役のヒラリー・スワンク変身ぶりには驚き!髪を黒く染めて色っぽく主人公にせまる姿は『ミリオンダラー・ベイビー』の役からは想像できない。さすがオスカー女優。「女は化ける」とかいうけどすごい化け方。
 シーン的にも最初の銃撃戦の前の舞台の建物から、死体の発見される裏の空き地、そして走ってくる車に、会話しながら歩いてくる男女をワンカットで見せるシーンなんかはデ・パルマならでは。吹き抜けの階段でのリーが殺害されるところの影を使ったカットなんかもいかにもヒッチコックを意識した感じで、これまたいかにもなシーン。
 とにかく全編にわたりデ・パルマならではのセンスが遺憾なく発揮されている映画だと思う。
 もっとも、かなり長い長編をほぼ2時間にまとめているので、原作読んでる人には物足りない部分もあるのかも。エルロイのファンなら『L.A.コンフィデンシャル』のほうを買うのかもしれませんね。
 ただ、個人的には断然こっちの『ブラック・ダリア』です。

晩ご飯は牛のもも肉のガーリック焼きトマトソースがけ