スタニスワフ・レム『大失敗』を読了。
http://d.hatena.ne.jp/morningrain/20060325で「ノーベル文学賞をあげるべき!」って書いたスタニスワフ・レムの最後の長編。レムお得意のコンタクトもので、小説から受けるイメージは『砂漠の惑星』+『天の声』って感じだけど、この『大失敗』はその両作品のアイディアを活かしつつさらに深いとこまで行っているし、さらにブラックというか意地悪というかで、まさにレムでしか書けない小説になってる。
レムは、友好的/敵対的という二分法に当てはまらない宇宙人とのコンタクトをテーマに『ソラリス』とか『砂漠の惑星』を書いたわけだけど、今度の相手の反応は「不信」。そして、信頼と情報のなさがコンタクトにいかなる影響を及ぼすかというのがこの本の大きなテーマになっています。1987年という冷戦がまさに終わろうとしている時に書かれたこの本は、読み方によっては「冷戦小説」というべきもので、ラストシーンの悲劇的と言うかある意味喜劇的でもあるような結末はレムから見た冷戦の総括のような気もします。
やや訳は読みにくい気もしますが、がんばってでも読む価値のある本。
晩ご飯は豚汁