『ブラッド・ダイヤモンド』

 けっこう久々に映画館で見た映画はレオナルド・ディカプリオ主演の『ブラッド・ダイヤモンド』。

 監督は『ラスト・サムライ』のエドワード・ズウィック。『ラスト・サムライ』が忍者やフジヤマ、ハラキリといった要素をてんこもりにしつつも良質のドラマとして成功したのと同じく、この『ブラッド・ダイヤモンド』も、内戦や少年兵、傭兵やグローバリズム批判などの現在のアフリカの問題点をてんこもりにしながら、きちんとしたドラマとして成功していると思う。『ラスト・サムライ』にやややり過ぎな面があるのと同様、この『ブラッド・ダイヤモンド』でも「戦闘シーンが派手すぎるんじゃないか」、とか「ラストはきれいごと過ぎやしないか」みたいなところはあるんだけど、それでも映画に描かれているゲリラによる手足の切断とか薬漬けの少年兵とか紛争に介入する傭兵の集団とかはいずれも現実にアフリカであったことだし、そういった現実を絵空事にならない範囲で上手く盛り込みながらきちんとしたエンターテイメントになっている。

 特にうまい点は主人公のディカプリオをアメリカ人とかではなく、ジンバブエ出身の白人としているところ。ジンバブエでの政変により両親を亡くし南アフリカで傭兵になったという人物を中心に据えることで、単なる正義感に燃えた白人が黒人を救い、グローバリズムを告発するみたいな図式に陥らずに済んでいるし、アフリカの抱える複雑な問題の一端を見せることができていると思う。