清涼院流水『コズミック』読了

 東浩紀の『ゲーム的リアリズムの誕生』を読んで、やっぱ清涼院流水を読んどくべきかと思い文庫版の『コズミック』を読んだ。
 1200人の密室殺人ということで上巻はえんえんと殺人事件が続くわけだけど、さすがにちょっと飽きる。それっぽいエピドードが羅列されているわけだけど、あくまで「それっぽい」以上のものでもないですし。
 ただ、そのエピソードをすべてカッコに入れてひっくり返してしまう後半の強引な展開は、無茶苦茶でありつつもけっこう読ませる。
 普通の作家だと、ある程度カードを何枚か見せつつも最後に残りのカードをひっくり返してあっと言わせるんだけど、清涼院流水は力技でカードを配りなおしちゃう。
 読んでいると事件、被害者、探偵の圧倒的な物量の前に、だんだんと感覚が麻痺してきて、最後のトリックと言えないようなトリックもなんか納得しちゃう。西尾維新の小説もインフレ気味なところが似てるけど、やっぱり清涼院流水の物量のほうが圧倒的。
 きっとこの小説のキーワードは「物量」です。

コズミック流
清涼院 流水
4062646498

コズミック水
清涼院 流水
4062648687