『プレステージ』

 原作がつい先日読んでとっても面白かったクリストファー・プリーストの『奇術師』、それを『メメント』のクリストファー・ノーランが監督するとなれば、期待せずにはいられない『プレステージ』でしたが、期待に違わずけっこうよかった!

 原作が叙述のトリックを最大限に活かした作品であるだけに、映像でそれをどう表現するかというのはかなり難しかったと思うんだけど、原作の複雑な構造をうまく整理して、ボーデンとエンジャ(映画では舞台名がダントンになってる)の秘密、特にボーデンのトリックの秘密をうまく最後まで引っ張ったと思います。
 また、映画ではボーデンがエンジャを殺してしまうという設定になっているのですが、それによって原作の現代の部分のパートを削っても、最後にクライマックスを持ってこれるようになっています。
 ただ、現代の部分を削ったこととボーデンによって引き起こされたエンジャの瞬間移動中の事故の内容を殺人という形にしてしまったため、原作のホラーファンタジー的な要素がなくなてしまったというのはある。人によってはファンタジーとしては見ることができなくなって、ニコラ・テスラの装置を”禁じ手”みたいに感じる人もいるかもしれません。

 配役はボーデンがクリスチャン・ベールでエンジャがヒュー・ジャックマン。『奇術師』のあとがきでは、ジュード・ロウとガイ・ピアーズの名前が挙がっていたけど、変わったんですね。でも、クリスチャン・ベールヒュー・ジャックマンも原作のイメージには合ってる気がしました。さらにスカーレット・ヨハンソンマイケル・ケインも出ていて、ニコラ・テスラデヴィッド・ボウイ!ちなみにエンドロールではトム・ヨークの"Analyse"。
 原作ファンが見ても楽しめる映画だと思います。そして原作を読んでない方には原作がさらにおすすめです。

〈プラチナファンタジイ〉 奇術師
クリストファー・プリースト 古沢 嘉通
4150203571


晩ご飯は豚ロースのガーリック焼き舞茸炒め合わせと冷奴