池袋通り魔殺傷事件の犯人は無罪では?〜その1〜

 1999年に起こった「池袋通り魔殺傷事件の犯人」といっても数ある犯罪の中に埋もれてしまってピンと来ない人も多いかもしれませんが、「わし以外のボケナスのアホ殺したるけえのお。わしもボケナスのアホ殺したるけえのお」、「アホ、今すぐ永遠じごくじゃけえのお」との書き置きを残して、池袋のサンシャインシティの入口で次々と人を襲い、2人を死亡させ、6人を負傷させた造田博(当時23歳)のことです。

 最近、80年代から現在の凶悪犯罪についてちょっと調べる機会があって、池袋通り魔殺傷事件のこともhttp://yabusaka.moo.jp/zouda.htmなどのページで改めて見直してんですが、この造田博は明らかに統合失調症の特徴を持つ人物だと思います。
 なんといっても気になるのは、彼が犯行の2年ほど前に外務省などに送りつけたという次のような手紙です。

日本人のほとんどは小汚いものです。この小汚い者達は歌舞伎町で、人間でなくなっても、動物でなくなっても、生物でなくなっても、存在しなくなっても、レイプし続け、暴行をし続けると言っています。
存在、物質、動物が有する根本の権利、そして基本的人権を剥奪する能力を個人がもつべきです。
この小汚い者達には剥奪する必要があります。
国連のプレジデントに届けて下さい。

Hiroshi Zota  造田博

世界中で見られる、生まれながらのひどい精神障害者、奇形児の方々はすべて、歌舞伎町で会ったことが原因で患者になっています。だから私は日本で生まれることにしました。
 私に関係があるという理由で、この小汚い者たちはA子さんという女性を世界中の人達、私の目の前でレイプしようとしています。国連のプレジデントに届けてください。

Hiroshi Zota  造田博

 造田博は岡山県の裕福な家に生まれたが、彼が高校の時に両院はギャンブルにのめり込み失踪、造田博は兄のもとに身を寄せその後職を転々とする生活が始まるのですが、上にあげた手紙はその中で書かれたものです。
 文中のA子さんは造田博が好意を寄せた女性なのですが、それは小学校時代にA子さんが造田を好きだということが耳に入って、それから職を転々とする中で造田が手紙を送ったり、家に押し掛けたりしたもので、恋愛とも言えないような妄想的なものです。
 このあたりの経歴や恋愛経験のなさといったものも統合失調症を思わせます。

 そこで逮捕後にこの造田博と手紙の交換を行ったフリージャーナリストの青沼陽一郎による『池袋通り魔との往復書簡』も読んでみたのですが、彼の手紙の文体は非常に独特で、普通の人の文章とはかなり違うものです(造田博は進学校である高校に合格しており、中学時代の成績はかなり良かった)。
 彼は拘置所の中で「造田博教」なるものを構想した(ひょっとしたら前々のものかもしれませんが)らしく、そのことを訪ねる筆者に対して次のような返事を送っています。

 造田博教(仮名です。まだ決まっていません。)の内容について少し書きます。
 造田博教では決まった献金は平均収入の10分の1か100分の8くらいで,これ以上はないです(日本、アメリカで1ヵ月2万円くらいです。)。家族がいる人の場合とかは、いろいろ工夫しようと思っています。あと自由献金(決められていない献金)があってこれは金額の限度はないです。自由献金はいろいろなことに使います。
 造田博教には入りたい気持が少しでもあれば入れます。
 造田博教の教会の人(集まるかどうかはわかりませんが)や造田博教の会社(造田博教で自動車、電気製品、テレビ局、銀行とかグループがたくさんある会社を作ろうと思っています。)はやめたければやめられます。造田博教の会社では問題がないように造田博教の教会の人でなくても(他の人や他の宗教の人も。)十分働けるようにしたり他のものを加えようと思っています。
 造田博教の教会の人は神の家族とかではなく他の人同士です。造田博教の教会の人は造田博教の教会の人です。
 私は造田博教ではトイレを自由にするのがいいと思っています。あと小便や大便をもらしてもふれないようにするのがいいと思っています。
 
   〜(中略)〜

 私の思ったことを適当に書いただけなので、あまり深刻に考えないで下さい。S君に送っている手紙にも毎日こう書いています。前にS君は私の送った手紙に緊張したみたいで、変わった手紙を送ってきたので毎日こう書いています。その時はすぐ返事が変わりました。
 手紙を書くのに時間がかかるので、今度はいつ手紙を送るかわかりません。あと手紙を受け取りました。どうもありがとうございました。あと、短い手紙はかまいませんけど。
 長いのでボールペンで消しているところがあります。

 このように彼の書く手紙は非常に奇妙な文章です。 
 文法的に無茶苦茶というわけではないですが、文章の脈絡はないし、細部は細かいが全体としてはよくわからない内容です。
 また、造田博教なる自己愛的な誇大妄想を語っていながら、所々やけに謙虚だったり丁寧だったりするところがあり、自己愛的な妄想と片付けられないところがあります。
 略した部分にも造田博教の考える世界(世界政府の実現とか)や自分の学校の事細かな成績、そしてできれば大検を受けて大学受験したいことなど、およそ大量殺人者として死刑を求刑されているとは思えないことが綴られています。
 
 と、ここまで書きましたが、まだまだ続くので続きは明日か明後日にでも書こうと思います。

池袋通り魔との往復書簡 (小学館文庫)
青沼 陽一郎
4094026967


晩ご飯は麻婆豆腐とトマト