アルフレッド・ベスター『分解された男』読了

 http://d.hatena.ne.jp/morningrain/20070710で紹介した『ゴーレム100』のアルフレッド・ベスターの処女長編がこの『分解された男』。さすがに『ゴーレム100』のようにぶっ飛んだものではありませんが、それでもこれが書かれたのが1953年だということを考えると、十分ぶっ飛んでいるのかも。
 

人の心を透視する超感覚者の出現により、犯罪の計画さえ不可能となった未来。全太陽系を支配する一大産業王国の樹立を狙うベン・ライクは、宿命のライバルを倒すため殺人行為に及ぶ。だがニューヨーク警察本部の刑事部長パウエルが、この大犯罪を前に立ち上がった。超感覚者対ライクの虚々実々の攻防戦。第一回ヒューゴー賞に輝く傑作。

と、Amazonで紹介されているこの作品は、乱暴で勢いのある文体、心で会話ができるエスパー同士の会話の独特の表現方法といった部分が斬新ですし、さらには1級のエスパーであるリンカン・パウエルが主人公で殺人者のベン・ライクを追いつめていくというサスペンスとしての面白さもあります。そして、途中のどんでん返し。
 『ゴーレム100』に比べると、毒っぽいところはあまりないですし、人間の進化を素直に信じるようなナイーブな面もあるんですが、それでも小説としてはいまだに色褪せない魅力を保っている作品と言えるでしょう。

分解された男 (創元SF文庫)
アルフレッド・ベスター
4488623018


晩ご飯は豚ロースのガーリック焼きトマトソースがけ