落合弁護士のブログ経由で知りましたが、昨日の北海道新聞の社説は非常によい社説。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/59891.html
再犯の防止 厳罰化より就労対策を(11月11日)
刑法犯の認知件数がピークの二○○二年から四年連続して減った。
今年の犯罪白書は犯罪情勢についてこう指摘した。
「なお、高い水準にある」というが、総件数は○二年より二割も少ない。窃盗や強盗、殺人など軒並み減り続けている。
驚かされるのは、治安が沈静化に向かっているのに、厳罰化の流れが止まらないことだ。裁判の確定判決をみると、じわじわ増えてきた実刑の懲役が昨年は四割を超え、死刑確定者がこの十年間で最多の二十一人に上った。
その結果、受刑者は増えた。刑務所の定員を超えて、六人部屋に八人収容するような状態が続いている。
白書は、全摘発者に占める再犯者の割合が近年、四割に迫る状況をふまえ再犯者の実態と対策をまとめた。窃盗の初犯者の九割が執行猶予となっていることなどを指摘し、さらなる厳罰化を促している。
だが、凶悪犯は減っている。昨年は暴行と脅迫の事件だけが増えた。「身近な小暴力やキレる人が多い」そうだが、厳罰化で対処できるのだろうか。
それよりも、就労対策が有効だろう。すでに昨年の犯罪白書が、失業率と刑法犯の件数が相関関係にあることを指摘している。安定した仕事を持ち、収入があれば、むやみに犯罪に走らないはずだ。
昨年、刑務所に再入所した窃盗犯のうち実に八割が無職だった。
法務省は昨年度から、厚労省・ハローワークと連携して、刑務所出所者らの就労支援対策を始めた。身元保証や「トライアル雇用」などを実施したが、採用の実績を検証し、さらに努力を重ねるべきだ。 (後略)
ぜひ、他のマスコミもこのくらいの認識は持って欲しい。
2割も減ったのに、「なお、高い水準にある」なんて言い続けている犯罪白書に関しても問題としてとり上げて欲しいものです。
そして、後半に「すでに昨年の犯罪白書が、失業率と刑法犯の件数が相関関係にあることを指摘している。」とあるように、犯罪が教育とか「モラル崩壊」の問題というよりも、不景気の生み出すものだという認識をしっかりと持つべきでしょう。
犯罪の認知件数のピークが2002年ってありますけど、実質GDPがマイナスだったのが2001年、名目でマイナスだったのが2001と2002年でしたから、まさに不景気が犯罪を生み出していたことがわかります。
ということは、治安をよくするには実は日銀の総裁を変えるのが一番だったりして。
晩ご飯は肉がハンバーグのビーフシチュー