小説以外の本

こんなとき私はどうしてきたか (シリーズケアをひらく)
中井久夫
4260004573

 統合失調症の患者を中心にすえながら、患者と出会ったときどうするか?患者の暴力にどう対処するか?病棟の運営をいかに行うべきか?回復期をどう支えるべきか?といったことが豊富な経験をもとに語られている本。統合失調症に関わっている人に限らず得る内容の多い本です。


東京から考える―格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス 1074)
東浩紀 北田暁大
4140910747

  同じ1971年生まれで東京近郊に育った両者でありながら、両者には時代認識の多くを共有していながら都市に関する感覚についてはずいぶんと違うところがあり、その感覚の違いが、人間の動物的部分に本質を見いだしつつローティ的な共感可能性に社会のつながりの可能性を見る東浩紀と、人間の動物的な部分を認めつつもそれには回収しきれない理論の力のようなものを信じる北田暁大の違いへと発展していく対談の後半は思想的な読み物としてもなかなか読み応えがあります。


リスクとしての教育―システム論的接近 (世界思想ゼミナール)
石戸 教嗣
4790712397

 石戸教嗣は、もう10年近く前に読んだ門脇厚司・宮台真司編の『異界を生きる少年少女』に入っていた「教育システムのメディアとしての子ども」という論文が素晴らしくてずっと注目していた人物ですが、単行本として読んだのは『ルーマンの教育システム理論』、『教育現象のシステム論』に引き続いて3冊目。前2作が、ルーマンの教育論の変遷の紹介といったことにページを取られていたのに比べると、今回の本はルーマンの理論を下敷きにしつつも、それを使って現在の日本の教育問題を考えていこうという姿勢がうかがえる本です。まだ理論的に弱い部分はありますがいろいろなヒントが詰まっている本です。


統治と功利
安藤 馨
4326101695

 あまりにテクニカルでマニアックな本で決して面白く読める本とは言えませんが、著者が打ち出すラディカルな社会理論は一読の価値あり!


合コンの社会学 (光文社新書 331)
北村 文 阿部 真大
4334034322

 新書に関してはhttp://blogs.dion.ne.jp/morningrain/archives/6635204.htmlであげているのですが、ここではこの1冊を。
 ピンと来ない人にはピンと来ないと思いますが、この本の目次にある「よく似たタイプを集める」、「がっつかない、和を保つ」、「盛りあげる、モテなくなる」、「女/男だけの二次会」といった言葉に反応する人には面白いと思います。文章が妙に文学的なのも個人的には○。