読売新聞はネットによる「モラル」の復興を喜ばないのか?

 木曜から読売で「ネット社会・深まる闇」っていう、いかにもな特集が始まっています。
 内容も「いかにも」ってもので、今まで何回も書かれているようなお決まりの内容。土曜の朝刊に載った「ゲーム感覚 悪意の増殖」では「祭り」をとり上げています。
 http://www.yomiuri.co.jp/net/feature/20080301nt01.htm?from=yoltop

 で、その中にこんな一節があります。

 東京都内で2年前に起きた当て逃げ事故では、被害者が車載カメラに残っていた逃走した車の映像を動画サイトに投稿すると、すぐに所有者の男が割り出された。ネット掲示板には男の名前や勤務先がさらされ、警視庁は投稿の約2か月後に書類送検した。無数の人を結びつけるネットの威力が、こうした結果を生むこともある。

 まあこれも有名な話ですが、これこそ読売新聞が日々訴えている正しいモラル社会の姿じゃないの?
  
 だいたいマスコミはありもしない治安の悪化をでっち上げて、「地域の衰退」、「無関心社会」、「モラルの崩壊」とか言っていますけど、ネットには無関心どころか日々道徳的に間違った事をしている人を探す人間があふれているし、ネットで一番の価値と訴求力を持っているのは「モラル」だし、地域の衰退を補って犯人を追いつめたのはネットという「共同体」。

 こういった眼で見れば、この記事の前半に載っている

 「これは燃えるな」

 関東の女性地方議員のブログを読んで、ほくそ笑んだ。目を付けたのは、性犯罪に巻き込まれる少女が増えていることを嘆き、<思春期に男子との接触が近くなりすぎている。(両性の自立と平等を目指す)ジェンダー教育こそ、性犯罪の起因になる>と書かれた部分だった。

 ジェンダー教育と性犯罪に因果関係があるという確たる証拠はない。仕掛け人としての経験では、事実関係があいまいなことを断定的に書くブログは「火をつけると燃えやすい典型」だ。

 自分が匿名で開いているブログで批判的に取り上げると、すぐにネット掲示板に転載され、女性議員のブログには非難のコメントやメールが殺到した。中には、「男にこびている」という中傷や、「次の選挙で落選させる」といった脅迫めいた内容まであった。

というものだって、最初に目を付けた人物は地域のうわさ話が好きなおばちゃんだし、「非難のコメントやメール」は村八分的行為ってことで、見事に村落共同体が復活してますよね。

 
 というわけで、さんざん「モラルを問う」とか主張してきた読売新聞はネット社会を正しい日本の姿としてもっと肯定すべきではないかと。
 僕はモラルとかあんまり好きじゃないので、ネットの祭りも読売新聞の「モラルを問う」とかいう主張もどうかと思うんですが…。


晩ご飯は肉がハンバーグのビーフシチュー