高橋洋一『財投改革の経済学』読了

高橋洋一『財投改革の経済学』を読了。「週刊東洋経済」の2007年ベスト経済書第1位の本です。
 高橋洋一小泉改革の中心的存在だった竹中平蔵のブレーンとも言うべき存在だった人物。財務省出身でありながら普通の官僚とは毛色の違う存在で、現FRB議長のバーナンキのもとで学んだこともあり増税路線を否定し、いわゆる竹中平蔵中川秀直の「上げ潮」路線の理論的な裏付けをおこなった人でもあります。
 そんな著者が書いたのがこの『財投改革の経済学』。タイトルは地味ですが、資金運用部による運用から財投債へと変化した財投改革が、必然的に郵政民営化特殊法人の改革を導きだすこと、さらにはその郵政民営化の中身、特殊法人改革、年金などの特別会計の今後、さらには財政再建の可能性といったまでを具体的な数字を使って縦横無尽に論じた本です。
 とにかく、この「具体的数字」というのがこの本の特徴で、日本の資金の動きから、金利による郵貯シフトの説明、道路公団債務超過か否か、財政再建の可能性といった問題が具体的な数字を使って説明してあり、説得力のある議論を展開していると思います(この議論がすべて正しいかを判断する専門知識は残念ながらないですが…)。また、一時期マスコミをにぎわせた、いわゆる「埋蔵金」問題についても書かれており、今後の財政問題を考える上では必読の本かもしれません。
 ただ、かなり専門的な本なので、最近出た『 さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白 』を読むほうが普通の人にはいいのかもしれません。(僕も正直なところ難しかった)


財投改革の経済学
高橋 洋一
4492620664


さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白
高橋 洋一
4062145944