けっこう出た直後に買ったんだけど、ほぼ全部読み終わる。
ざっと読んだ感想を。
- 最初に立ち読みしたりするのは巻頭のシンポジウムかもしれないけど、それよりも東浩紀+萱野稔人+北田暁大の鼎談のほうが面白い。「子どもの王国」としての日本を肯定的に捉える東浩紀のある種のラディカルな感じがよくわかる。
- 中島岳志の「日本右翼再考」は思ったよりもふつう。もっと思い切った論を立ててくるかと思ったけど、非常に常識的な「右翼論」。逆に言えばどこかで読んだような議論ではある。
- 伊藤剛の「マンガのグローバリゼーション」の冒頭に出てくる海外で描かれている日本的な「マンガ」の話は面白い。後半は最初の問題提起と少し議論がずれているような気がしなくもないけど、この海外で描かれる「マンガ」ってのは面白いテーマだと思う。
- 呉咏梅「中国における日本のサブカルチャーとジェンダー」の中で、ホストやホステスの風俗を肯定的に描く日本のドラマに対して多くの中国人が「信じられない」的な反応を示しているということが紹介されているけど、そりゃそうかも。日本には遊郭もの以来の伝統があるけど、これは他の国ではないことかも。
- 韓東賢「社会的関係と身体的コミュニケーション」に出てくる朝鮮学校と国士舘のケンカの話は面白い!国士舘では創立者が馬に乗って学生を観閲したとかいうエピソードも強烈だし、朝鮮学校の生徒がほんとにケンカばっかしてたということがうかがえる。70年代にはこの朝鮮学校と国士舘が新宿駅の構内で角材もって乱闘していたらしいけど、そういった街の中の暴力っていつ消えていったんでしょうね?
今回の「日本」という特集はどうだろう?という気はしなくもないですが(やはりテーマが漠然としすぎていて、論文それぞれが少し噛み合ってないように思える)、でも、とりあえず全部の論文を読ませる力はあると思います。
第2集のテーマは「ジェネレーション(仮)」ということで、より期待したいです。
思想地図 vol.1 (1) (NHKブックス 別巻)
東 浩紀 北田 暁大