知財の未来に絶望した!

 今日の朝日新聞の「私の視点」というオピニオン面に玉井克哉という東大の教授が「新古書店と著作者」というタイトルで寄稿していたので読んでみた。
 ブックオフが著作者団体に対して1億円寄付したというニュースをとり上げて、著作者の新たな権利を創設するのは権利関係が複雑になりすぎて問題だが、著作者に何らかの利益が還元される必要があるので、新古書店と著作者が利益還元の自主ルールを結ぶのが望ましいという話。
 まあ、個人的には一度販売されて著作者に印税が入ったのならそれでもう充分じゃないかと思うし、毎度持ち出される「価値創造のサイクル」とかいう話もうんざりなのですが(「価値創造のサイクル」とかいうなら著作者の死後50年も著作権がつづく現行の制度では意味がなく、著作者の死とともに著作権も消滅すべき)、驚愕すべきは玉井先生の提案する自主ルールとやらの内容。

 新古書店と著作者が共存共栄をしていくためには、法改正による権利の創設ではなく、両者間で利益還元の自主ルールを作るのが望ましい。たとえば、販売価格の1割といった料率を決めて、著作者団体に還元する。団体は一定の手数料を引いて、ここの権利者に配分する。

 
 販売価格の1割!
 ブックオフの実際の経営がどんな数字になっているのかは知らないけど、販売価格の1割取られたら間違いなくつぶれるでしょ!
 だいたい、新刊本の印税だって10%ならいいほうじゃないのか?それを古本販売で10%とはどんだけ強欲なんだと…。
 別に経営に詳しくなくてもいいけど、1割って数字は、ちょっと考えればありえないってわかるでしょ。頭がいいはずの東大の先生じゃないですか。いくら学者が世間をしらないって言ったって。
 しかもこのページを見る限り「東京大学先端科学技術研究センター 知的財産権大部門 教授」ですからね。
 http://www.ip.rcast.u-tokyo.ac.jp/member/tamai/index.htm


 この「東京大学先端科学技術研究センター 知的財産権大部門」とやらで教授は彼一人。ここのトップみたいです。
 一応、業績とかを見る限り、特許法とかが専門で著作権法についての研究はあまりないみたいだけど、このビジネス音痴ぶりは…。
 こういう人が政府の「知財委員会」とかの委員とかになって「知財政策」とやらを立案していくとか考えると、ほnと絶望してくる。