『ミスト』

 近所のレイトショーなら1200円で見れるということで『ミスト』を見に行く。
 原作スティーヴン・キング、監督フランク・ダラボンという『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』と同じコンビのこの作品。しかし、この作品にはその2作品に見られるような希望とか感動とかはまったくなし。後ろから殴られて倒れたところにさらに膝蹴りを喰らわされたくらいに救いのない結末です。


 映画は謎の霧に包まれた街、そこのスーパーに閉じ込められた人々が謎の生物に襲われるというホラー。
 スーパーという閉ざされた空間で、人々は恐怖心から常軌を逸していく。特にマーシャ・ゲイ・ハーデン演じる憑かれたように神を信じるおばさんの存在が人々を集団的な狂気に追いやっていきます。
 そんな中で主人公のデヴィットは息子を連れてそこから何とか脱出しようとするのですが…。


 閉鎖空間で次第に追いつめられていく人々、息子を守ろうとする父親、そして人々を襲う謎の生命体。これらの道具立ては非常にありふれたものだし、またフランク・ダラボンの演出も比較的オーソドックスなものなので、「よくできたホラー」あるいは「よくできたパニック映画」という感じで映画は進んでいきます。
 そしてラスト。
 「映画史上かつてない、震撼のラスト15分」という前宣伝ですが、いわゆる『シックス・センス』みたいなどんでん返しとは違います。ここまで、映画の登場人物たちとともに「もうダメだ、絶望的だ」と思った所での予測以上の結末という感じですね。
 この結末は原作とは違うらしく、ここから「人間が人間を裁くことはできない」というようなメッセージを受け取ることも可能ですが、たぶんこれは脚本も書いているフランク・ダラボンが「思いついちゃった」というやつではないでしょうか?

 
 ほぼまったく救いのない映画なので、そういった映画が嫌いな人はダメかもしれませんが、よくできた映画であることは間違いないし、ラストの衝撃はかなりのものがある映画です。