裁判員制度について検察で聞いてきたこと

 裁判員制度の教員向け研修で検察の人の話を聞く機会があったんだけど、そこで聞いた話を少し。

 まず、裁判員制度導入の目的なんだけど、1つ目は「事前救済型システム」から「事後救済型システム」への転換の中でで司法の役割増大が見込まれていて、それには司法に対する国民の支持や理解が必要だということ。これは他でもよく聞く理由だと思う。
 そして、2つ目は裁判員をやった人への教育効果なんだけど、その検事の人が言うには「治安は人ごとではない」ということをわかってほしいとのこと。で、これによって治安への意識が高まり、治安の改善へとつながると。
 この検事の人が2つ目に挙げた理由は初めて聞いたものだった。裁判所や弁護士会は当然別のスタンスで臨んでいるんだろうけど、検察はこういう考えも持っているんですね。


 もう一つ、会場から出た質問で「現在の検察は無罪だったらほぼすべて控訴するような印象があるが、裁判員制度で無罪が出た場合、それを国民の声として重んじて控訴を控える、あるいは今までのスタンスを見直すような考えはあるか?」というのがあったんだけど、検事の人は個人的な見解と断った上で「今までと変わらないと思う。今でも不起訴や起訴猶予の手段があり、検察は有罪だと確信している案件を起訴している。国民の意見を重視すると言っても今までのスタンスを変えることはないはずである」と述べてました。
 とりあえずは裁判員制度が始まっても100%有罪を目指す検察の姿勢というのは変わらないようです。


 あと、裁判員守秘義務に関しては、法廷でわかることはしゃべってもOKだけど(裁判員の性別とか年齢の構成など)、評議に関してはかなり強い守秘義務がかかるみたい。
 評議の大まかな流れ(最初は有罪と無罪で割れたけど結局有罪になった、など)もアウトということだし、評議で行った自分の意見をあとから言うのも問題があるとのこと。