ようやく公開がシネマライズ以外にも広がって、さらには映画の日ってことで『闇の子供たち』を見てきました。
知っている人も多いでしょうが、タイにおける児童買春と児童への臓器移植をとりあつかった映画で、非常に重くショッキングな内容です。
脚本的には練れていない部分があって、少しわかりにくかったりスムーズさに欠ける所もありますが、題材の重さに正面から向き合う姿勢はよいと思いますし、主演の江口洋介の演技もよいです。
「東京ラブストーリー」とかを見ていたとき、江口洋介がこんなにちゃんとした俳優になるって誰が予想できたでしょうか!
『KT』にしろ『亡国のイージス』にしろ阪本順治の映画って役者の演技の下手さでしらけるところがないのがいいですね。一番微妙なNGOの日本人女性の役も宮崎あおいということで安心してみれますし、ちょい役ですけど佐藤浩市の演技も映画を引き締めています。
ラストはまた重い展開で、これは原作の小説と違うんじゃないか?って思って原作を本屋でちらっと立ち読みしたら、やっぱ原作のラストとは変えてありました。
原作は宮崎あおいが演じる恵子の成長(あるいは覚悟)を描いて終っているんだけど、映画ではあくまでも「男の話」として終らせています。あるべきラストとしては原作の方がよいような気もするのですが、阪本順治はあくまで自らの「男」としての立場にこだわったのでしょう。
ただ、全否定はできないけど映画のラストはやっぱり問題もあるような…。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、なんかずるい気もします。
闇の子供たち (幻冬舎文庫)
梁 石日