2008年ベストアルバム

1位 TV On The Radio / Dear Science

B001EOQTSIDear Science
TV on the Radio
DGC/Interscope 2008-09-23

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 00年代のロックの可能性を一身に背負ってきたDavid Sitekの00年代の仕事の集大成!
 今までの2作が衝撃的であるものの、アルバムの完成度としてはやや低いものがあったのに対して、この3rdアルバムは捨て曲なしの完璧な構成。もともとTV On The Radioは黒人音楽のさまざまな要素をものすごくタイトな形でロックに仕上げている所に特徴がありましたが、今作ではそれを踏まえて、なおかつメロディやポップさを強化。
 今年に限らず00年代のロックを代表する1枚だと思います。
 www.myspace.com/tvotr


2位 Kanye West / 808s & Heartbreak

B001FBIPFA808s & Heartbreak
Kanye West
Universal AB 2008-11-24

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 カニエの才能の巨大さを思い知った1枚。もはやヒップホップではなく、少しポップスの入ったR&Bという感じなのですが、ここまで冷えきった世界というのはR&Bでは聴いたことがない。言い過ぎかもしれませんが、これこそ00年代のOK Computerなのかも。
 http://www.myspace.com/kanyewest


3位 Colin MacIntyre / The Water

B0010NX29MWater
Colin MacIntyre
Future Gods 2008-02-04

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 個人的には大傑作と思ったアルバム(2004年の個人的なベストアルバム)This Is Hopeを出したけど、あんまりセールス的にも評判的にも芳しくなかったみたいで、その後消えていたMull Historical SocietyがColin MacIntyreのソロ名義になって帰ってきた!
 最後から2番目の"Faith No. 2"は、まさにポスト9・11(音楽面でのプロテストの挫折という状況を含めて)の中で愛を歌った傑作だと思う。
www.myspace.com/colinmacintyre


4位 宇多田ヒカル / HEART STATION

B0012OR6YQHEART STATION
宇多田ヒカル
EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) 2008-03-19

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 デビュー当初はそうでもなかったけど、最近、どんどん好きになってきた宇多田ヒカル。このアルバムは今まで最高の完成度のアルバムではないでしょうか?(2ndも好きなのですが曲が多すぎ。3rdは"travelling"以外のシングルがやや弱い)
 常に「現在」のことが歌われている歌詞も日本のアーティストの中では異色。過去への詠嘆ばかりを歌っている日本人があふれている中で宇多田ヒカルの「強さ」は際立っています。


5位 Lacrosse / This New Year Will Be For You And Me

B000VI4XM2This New Year Will Be For You And Me
Lacrosse
Tapete 2007-12-03

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 正確に言うと去年の年末発売なのですが、アルバムを聴いたのも存在を知ったのも今年なので。
 スウェーデン出身の6人組で、男女のツインヴォーカルにキーボードやホーンなどの音が加わるという、ここ最近よくある賑やかなポップで、ありがちな音ではあるんだけど、何よりもメロディがよい。それも、メインのメロディだけじゃなくて、アウトロなどで入るキーボードやホーンのメロディがよくできているのが特徴。
 歌も演奏も上手いとは言えませんけど、インディーポップ好きにはオススメです。
 http://www.myspace.com/lacrossesthlm


6位 Blind Pilot / 3 Rounds And A Sound

B001BTZO7S3 Rounds and a Sound
Blind Pilot
Expunged 2008-07-15

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 アメリカ・オレゴン州ポートランド出身の2人組フォークバンド。自転車でツアーに出ていたりもする、マイナーかつ地味なバンドなのですが、そのメロディは最高!
 アルバムのタイトルにもなっている"3 Rounds And A Sound"は今年最高のメロディの曲だと思う。
 http://www.myspace.com/goblindpilot


7位 Syrup16g / Syrup16g

B000YY67RCSyrup16g
Takashi Igarashi
UNIVERSAL SIGMA(P)(M) 2008-01-30

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 今年解散したSyrup16gのラストアルバム。「破滅の美学なんかを/利用して/いざとなりゃ死ぬつもりだった」というシロップ節が炸裂する”ニセモノ”から始まるこのアルバムは、「いかにも」すぎるつくりではあるのですが、ファンとしては納得の終り方なのではないでしょうか。そういうコンテクストを離れても、”ラファータ”とか"scene through”なんかは名曲だと思いますし。


8位 Mr.Children / SUPERMARKET FANTASY

B001H0GBZ0SUPERMARKET FANTASY [通常盤]
Mr.Children
TOY'S FACTORY Inc.(VAP) 2008-12-10

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 ミスチルのアルバムはタイアップなどで先行シングルをさんざん聴いているので、どうしてもシングル以外の曲の評価がアルバムの評価になりがちなのですが、そうした点から言うと前作のHOMEよりもずっといいと思う。
 準シングルっぽい”エソラ”もそつなくまとめている感じですし、”口がすべって”もいいですね。ただ、アルバムとしてはまだ少し長いと思う。


9位 Ra Ra Riot / The Rhumb Line

B001B92EHGThe Rhumb Line
Ra Ra Riot
V2 2008-08-19

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アメリカのニューヨーク出身の5人組のバンド。このバンドの特徴はメンバーにバイオリンやチェロがいることで、それがメロディに彩りを添えています。また、バイオリンやチェロが入りながらも意外とロック色が強いというのもこのバンドの特徴。全体のメロディもいいですし、5曲目の"Dying Is Fine"が名曲!
 http://www.myspace.com/rarariot


10位 Common / Universal Mind Control

B001DNQSNGUniversal Mind Control
Common
Universal 2008-12-09

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 Commonと言えばKanye Westプロデュースの「Be」の印象が強かったのですが、プロデュースはN*E*R*DでもおなじみのThe Neptunesを迎えて、このアルバムは今までとはまったく違う踊れるヒップホップに仕上がりました。かなり大胆な路線変更ですが、これはかっこいい!
 http://www.myspace.com/common



 個人的に00年代を代表する才能はDavid SitekとKanye Westだと思っていたのですが、それが証明された感があるのは今年。David Sitekは自らメンバーとして参加するTV On The Radioでキャリアの中でも最高のアルバムをつくりあげ、メディアの評価も得ましたし、Kanye Westについては今さら云々言う必要はないかもしれませんが、今度のアルバムで個人的にはその巨大な才能を思い知らされました。
 来年は何といって年明けすぐにリリースされそうなLoney,dearのニューアルバムが楽しみ。前2作は傑作でしたし、かなりの才能と見込んでいるんですけどね。