2008年の本、CDときて、一日おいて2008年の映画を。
1位 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
ポール・トーマス・アンダーソン渾身の作。今までの作品では才能は感じさせるものの、自らその才能を持て余しているような感じもありましたが、これは非常に力強い映画。現在のアメリカにおける、「資本主義の悪」と「宗教の堕落」という2つの「悪」を描ききった作品だと思います。主演のダニエル・デイ・ルイスも素晴らしいですが、ポール・ダノの怪演ぶりも見事。アカデミー賞は『ノーカントリー』じゃなくて、こっちでしょ。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド [DVD]
ダニエル・デイ=ルイス, ポール・ダノ, ケヴィン・J・オコナー, キアラン・ハインズ, ポール・トーマス・アンダーソン
2位 『ラスト、コーション』
『ブロークバック・マウンテン』につづくアン・リーのすごい映画。「愛してはいけない者を愛してしまう」というテーマは非常にありがちで、今までさんざん繰り返されてきたテーマですが、ここまでその心の動きを見事に描いた作品は少ないでしょう。
ラスト、コーション [DVD]
トニー・レオン, タン・ウェイ, ワン・リーホン, アン・リー
3位 『ダークナイト』
娯楽大作にしてこの重さ。しかもこれがアメリカでは記録的にヒットしたというのですから、驚きです。
ジョーカーという絶対的な「悪」と、その悪を阻止するために厳しい決断を迫られるバットマン、さらに不公平であることを受け入れられずに「正義」から「悪」へと転落するトゥーフェイス。現代社会における正義と悪をめぐるジレンマを正面から扱った作品です。
ダークナイト 特別版 [DVD]
クリスチャン・ベール, マイケル・ケイン, ヒース・レジャー, ゲーリー・オールドマン, クリストファー・ノーラン
4位 『崖の上のポニョ』
♪ぽーにょぽにょぽにょ♪のメロディはほとんど麻薬。こういうのを「アシッド」とか言うべきなのかもしれません。映画の方も後半の盛り上がりがやや弱いですが、ガラスの中にはまったポニョとか、ハム食べるポニョとか、吹き上がる魚の大群とか、波の上を走る半魚人のポニョとか、宗介のお母さんの股をすり抜けるポニョとか、ほんと動きが面白い!宮崎駿はここ最近、どんどん若返っているのがすごい!
5位 『つぐない』
5位は非常に迷いましたが、主人公ブライオニーの13歳のときを演じたアーシャ・ローナンのハマりっぷりとかわいさで。
「上流の姉妹と使用人の息子の身分を超えた恋」、「妹の片思いと嫉妬と嘘」、「戦争で引き裂かれた男女」というように甘いラブロマンスの要素がてんこ盛りにもかかわらず、非常に”苦い”映画。
つぐない [DVD]
キーラ・ナイトレイ, ジェームズ・マカヴォイ, シーアシャ・ローナン, ロモーラ・ガライ, ジョー・ライト
他にも『歩いても 歩いても』とか『トウキョウソナタ』とか『闇の子供たち』とか邦画でけっこういい作品のあった一年でした。それと同時にくだらなそうな邦画も多かったですが…。