『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

 今日は『ベンジャミン・バトン』を見てきました。
 ご存知の人も多いでしょうがブラッド・ピットが老人に生まれてどんどん若返っていくというストーリー。
 不思議な運命の元に生まれた男の一生ということで、『ビッグ・フィッシュ』とか『フォレスト・ガンプ』に近い感じの映画です。というか、脚本はエリック・ロスで『フォレスト・ガンプ』と同じなんですね。主人公とヒロインが初めて会うところとか、主人公とヒロインのすれ違いの描き方が見ていて似ているなって思いましたけど、納得。
 ただ、『フォレスト・ガンプ』に比べると、登場人物の成長、特にヒロインの成長が描かれているのがこの映画のポイント。『フォレスト・ガンプ』のヒロインはガンプに助けられるだけでしたが、この映画ではケイト・ブランシェットが、ブラッド・ピットとは逆に年齢を重ねていくことで、人間的に成長していきます。
 ふつうに年を取っていくケイト・ブランシェットと若返っていくブラッド・ピット。2人の年齢が重なりあうような瞬間があるんだけど、再び2人の年齢が離れていってしまうという展開はせつないですね。
 このあたりはロマンスとしてもよくできていると思います。
 

 ただ、デヴィッド・フィンチャーのファンにとっては「毒」がないのと、映像的にも「フィンチャーならでは」というものがないので、やや物足りない感も残ります。
 前作の『ゾディアック』で見せた冒頭の「花火の上がる街の空撮から、地上に降りて来て車の移動にあわせて郊外の住宅を様子を撮って行くシーン」みたいにゾクゾクさせるようなシーンはないですね。(唯一かっこ良かったのは潜水艦との戦闘シーンかな)
 よくできている映画だと思いますが、アカデミー賞となるとどうでしょう?