ポップでアヴァンギャルド、それでいながらクラシック的な素養の深さも感じさせるロシア出身の女性シンガーソングライターRegina Spektorのニューアルバム。
ピアノを中心に据えた曲ながら、この躍動感、曲や歌唱の振れ幅の広さというのはRegina Spektorにしか出せない世界。前作のBegin To Hopeは文句なしの傑作でしたが、今作もいいと思います。
軽快なリズムが楽しい4曲目の"Folding Chair"から、激しい力強さのある"Machine"への展開なんかは、バンドならともかく、シンガーソングライターではRegina Spektorにしかできない荒技ではないでしょうか。さらにつづく"Laughing With"での早口気味の軽快な歌いぶりから、"Human Of The Year"でのスケール感のある歌いっぷりへの変化も見事。
また、これくらい歌のうまい女性シンガーだと、どいうしても「歌を聴かせる」ことにこだわってしまい、軽快さやリズムが失われてしまうことが多いのですが、このRegina Spektorはそれらをきちんと保っている点が魅力。決して手抜きではない「遊び心」のようなものがアルバムにあふれています。
"Laughing With"