ジブリ以外で久々にキャラやオタク的設定に頼らずに『時をかける少女』というヒット作を生み出してみせた細田守の新作。
ドラマのつくり方も画のつくり方も上手い監督なので、当然、面白いだろうとは思ってましたが、「ばあちゃんを中心とした大家族が世界を救う」というある意味わかりやすく想像のつきやすいストーリーなので、「そんなに驚きはないかな?」という思いもありました。宮崎アニメなんかに見られるように、日本のアニメでばあちゃんは一種のジョーカー的な存在として描かれることも多いですし(ラピュタのドーラとか)、すごいようでいて単純な存在として描かれることが多いですから。
そんな思いを抱いてみたのですが、予想以上によかった!
確かに現実世界のドラマはある意味で想定の範囲内という感じなのですが、もう一つの仮想現実「OZ」の世界の描き方が素晴らしい。
いかにも仮想現実といった感じではあるのですが、そんな中で現実世界とリンクしたさまざまなアイコン、乱舞するアバター、2ちゃんねる、ニコニコ動画的なコミュニケーション、そうしたものをすべて含みつつそれが非常に洗練されたデザインとして構築されている。
これ見ちゃうと、もうセカンドライフなんかやる気起きないですね。
大量のアバターがこっちに向かってくるシーンは鳥肌が立つほどでした(ちょっと不気味でもありますし)。
『時をかける少女』のような「泣き」はないですし、山下達郎の主題歌もそれほどではないので(『時をかける少女の』の奥華子のほうが印象的)、「感動」という面では弱いかもしれませんが、単純に面白いですし、映像に興奮出来る作品です。