自民のマニフェストの経済政策って…

 真剣に読むと自民のマニフェストの経済成長戦略の部分はひどい!

経済成長戦略で、国民所得を世界トップクラスに。

低炭素社会や健康長寿社会の実現を目指して、引き続き大胆かつ集中的な経済対策を実施し、平成22年度後半には年率2%の経済成長を実現。さらには、ものづくり技術の開発、イノベーションの推進などによる産業の高付加価値化を実現します。あわせてアジア諸国の市場を取り込むための投資環境の整備などにより、日本経済を平成23年度から、安定的な成長経路へ復帰させます。今後3年間で40〜60兆円の需要を創出し、概ね200万人の雇用を確保します。経済成長戦略の着実な実施により、10年で家庭の手取りを100万円増やし、1人当たり国民所得を世界のトップクラスに引き上げることを目指します。


 まず最初に出てくる2%の数字。実質か名目かわからないけど、たぶん実質でしょう。手段はに関してはあまりに漠然としていて、ほんと達成出来るのか謎ですけど、来年の後半には2%の経済成長を達成したい、これはいいでしょう。
 で、その後に出てくる数字。
 「10年で家庭の手取りを100万円増やし、1人当たり国民所得を世界のトップクラスに引き上げることを目指します」
 これは一瞬「こんなんできるのか?」と思ってしまう人もいるでしょうけど、これは出来るし、これじゃ困る!
 

 http://journal.mycom.co.jp/news/2009/05/22/032/index.html
 の記事によれば、「2007年の1世帯当たり平均所得金額は556万2,000円」です。
 これは手取りではなく支給総額になりますが、まあ手取りだとこれが450万円前後になるのではないでしょうか。
 そこで、この450万が平成22年度後半に達成出来るとされている年2%成長により、年2%ずつ増加するとします。

 1年目 450万円×1.02=459万
 2年目 459万円×1.02=468.18万
 3年目 468.18万円×1.02=477.5436万
 4年目 477.5436万円×1.02=487.09447万
 5年目 487.09447万円×1.02=496.83635万
 6年目 496.83635万円×1.02=506.77307万
 7年目 506.77307万円×1.02=516.90853万
 8年目 516.90853万円×1.02=527.2467万
 9年目 527.2467万円×1.02=537.79136万
 10年目 537.79136万円×1.02=548.54746万

 来年後半には達成出来る2%成長でほぼ達成出来る数字。
 っていうか手取りを100万増やすってのは実質の成長率を上げなくても、物価上昇率が2%で上がっていけば達成出来ちゃいますよね。日本銀行が他の国の中央銀行と同じようなまっとうな政策をとれば、自民党が何をしなくても達成出来てしまう数字です。
 だから「国民所得を世界トップクラスに」というスローガンを掲げるなら、もうちょい大きな数字を出すべきでしょう。名目2%位の成長はどの国だって同じようにするはずです。
 

 で、ちょっと怖いのは自民党は物価が上昇するってことをまったく考えてないんじゃないかってこと。
 ひょっとすると 自民党は日銀と同じくインフレを一切許さないデフレ・ターゲッティング戦略で行くつもり?
 そうでないなら、「名目で4%、家計の手取りを10年で200万円増やします」くらいなことは言ってほしい。
 これじゃ、「失われた30年」コースですよ…。