『ユダヤ警官同盟』が読みたくて、ミステリー好きの父に「持ってる?」と聞いたところ、「ないけど、これは面白い」と渡されたのが、この『犬の力』。
去年のミステリーランキングの上位に押されただけあって、さすがに面白い!そしてお腹いっぱい!
『ゴッド・ファーザー』と『トラフィック』とあとよくわかんないけど、アメリカ映画のこの手のものの美味しい部分がすべて詰め込まれているような構成で、アメリカの麻薬捜査官とメキシコの麻薬組織の戦いを30年近くにわたって描いています。
メキシコ政府の腐敗から、アメリカのニカラグアにおけるコントラ作戦、NAFTAの成立にコロンビア革命軍 (FARC) 。これらの政治的背景を麻薬をめぐるストーリーに折り込んでいく腕はさすがで、ベトナムほどには表には出ていない「アメリカの闇」をうかがわせる内容にもなっています。
衝撃的な暴力シーンもあり、派手なアクションシーンもあり、映画化の話も当然出ているでしょうし、この本自体が映画の想像力を吸収し、映画的な形でまとめられた小説になっています。
ただ、問題はあまりにも話が巨大すぎる所。3部作とかにしないとおさまらないですね。
犬の力 上 (角川文庫)
東江 一紀
犬の力 下 (角川文庫)
東江 一紀