東京事変/スポーツ

 東京事変の4thアルバム。
 前作の「娯楽」は正直な所、"キラーチューン"以外はいまいち、椎名林檎名義の「三文ゴシップ」は「なぜ、"ありあまる富”を入れない!?」ということで、アルバムとしてはやや不満の残る作品がつづいていたのですが、これはなかなかいいんじゃないでしょうか。
 まず、冒頭の"生きる"がイイ!
 ♪憧れていた筈の、孤独と自由が首を絞める/なんてこの世は果てしないんだろう♪っていう1番のラストからスピードアップして2番の♪忌み嫌い続けていた筈の、無欲と空虚が胸を占める/なんてこの身は頼りないんだろう♪へと、歌詞はけっこう暗めであるんですけど、曲のスケール感と疾走感が妙に何かを鼓舞する曲。
 "電波通信"、"能動的三分間"なんかも軽快でいいですし、さらに"能動的三分間"につづく"絶体絶命"がよい。
 ♪かなしみが声を殺してわたしを待ち構えている♪という、暗めの歌詞で始まる曲なのですが、これも1曲目の"生きる"と同様、重めの歌詞ながらどこか開放感を感じさせる不思議な曲。今回のアルバムは、この歌詞と曲調のギャップがいい味を出していると思います。
 相変わらず、浮雲の曲は変な気取りがあってあんま好きじゃないんですが、アルバム全体の曲のレベルは「娯楽」に比べるとはるかにいいと思います。
 そして、"閃光少女"!
 「いまさらアルバムに入れるのか!」って気もしますが(ずっと前にiTunesで購入済み)、やっぱりこれは名曲。東京事変の今までの曲の中でも3本の指に入る(あとの2曲は"透明人間"と"キラーチューン")。
 ♪焼き付いてよ、一瞬の光で/またとないいのちを/使い切っていくから/私は今しか知らない/あなたの今を閃きたい/これが最期だって光って居たい♪ってラストの歌詞は何度聴いてもいいと思う。
 というわけで、椎名林檎関連のアルバムなら東京事変の「大人」以来の満足感です。


スポーツ
東京事変
B0030CVOIM