『レオニー』(試写会)

 一昨日のことになりますが、松井久子監督の『レオニー』を試写で見てきました。なくなった父が少し関係していたということで見てきたのですが、皇后陛下もご臨席という予想以上に豪華な試写会。
 主演のエミリー・モーティマーの9投信はあるんじゃないかと思われるスタイルの良さと、原田美枝子の50過ぎとは思えない綺麗さにも驚きましたね。


 映画は世界的に有名な彫刻家イサム・ノグチの母であるレオニー・ギルモアの人生を描いたもので、Yahoo映画のあらすじによるとこんな感じ。

 編集者になりたいという夢を持っていたレオニー・ギルモア(エミリー・モーティマー)は、ある日日本から来た青年詩人・野口米次郎(中村獅童)と出会う。やがて、二人は愛し合うようになり彼女は妊娠するが、米次郎は日本へ帰国してしまう。 一人残されたレオニーは、未婚のまま子どもを産む決意をする。

 まず、この映画の第一印象は綺麗な映画だということ。撮影の永田鉄男は『エディット・ピアフ』などの撮影も手がけていてフランスで活躍している人らしいですが、陰影を生かした非常にきれいな画を撮ります。
 主演のエミリー・モーティマーも美しい。若い頃から年を取った時まで、常に内面の美しさを感じさせるような演技をしています。
 そして、中村獅童
 彼の演じる野口米次郎というのは、レオニーを情熱的に口説きながら、レオニーの妊娠がわかると彼女をおいて日本に帰ってしまうというひどい男なのですが、私生活もオーバーラップして非常によくはまってます。
 イサム・ノグチのことを描いた映画でないですが、彼のルーツみたいなものも分かりますし、何よりも日本に来たレオニーが小泉八雲の妻の小泉セツと交流を持っていた事実などは興味をそそります。津田梅子との交流もあったそうですし、この当時の日米関係や女性のあり方などを考える上でも,このレオニーという女性は興味深い人物です。


 個人的には後半のシナリオがやや散漫なような気もしましたが、この『レオニー』は外国を舞台にした日本映画にありがちな欠点がない映画です。この手の映画は、外国人の役者がヘボイ、主演はともかく脇役がヘボイ、照明が暗いなどの欠点があるケースが多いですが、画面の完成度はハリウッドの映画などと比べても遜色のない出来。
 予想以上に美しくてスケール感のある映画でした。


 ちなみに原作というわけではないですが、監督はこの本を読んでこの映画を作ろうと決意したそうです。

イサム・ノグチ(上)――宿命の越境者 (講談社文庫)
ドウス 昌代
406273690X

イサム・ノグチ〈下〉―宿命の越境者
ドウス 昌代
4062736918