ゴッホ展

 昨日は国立新美術館ゴッホ展に行ってきました。
 展覧会全体としては混んでたし、ちょっと点数が多すぎるような気もしたけど(ゴッホ以外の絵が結構展示してある)、後期のゴッホ的な画風が確立してからの絵はやはりすごい!


 今回のゴッホ展を見たかぎりでは、比較的平凡な画家だったゴッホが覚醒したのが1887年の「ヒバリの飛び立つ麦畑」と「自画像」。「自画像」は今回の展覧会のポスターとかにもなっている有名なやつですが、「ヒバリの飛び立つ麦畑」もモネ的な色彩がゴッホならではの独特なタッチで描かれていて、「ゴッホ誕生」を感じさせる作品。
 そして、この1887年以降の作品はいずれも異常な迫力に満ちている。
 今回の展覧会の目玉的な作品としては「アルルの家」とか「種まく人」とか「アイリス」とかがあってそれはもちろん素晴らしいんだけど、それ以外にも後期の絵にはおもしろいものがたくさんある。
 例えば、「じゃがいものある静物」(1888)。近くで見るとちょっとタッチが独特な単なるじゃがいもに見えるんだけど、遠くから見ると非常にきれい。どこにこんな美しさが隠れていたのかと思います。
 こうした遠くから見たときの美しさは、例えば「緑の葡萄畑」(1888)なんかもそうで、近くで見ると禍々しいほどの葡萄の木だったり空だったりするんだけど、ちょっと離れてみると何故か美しい。「草むらの中の幹」(1890)の幹の存在感も少し離れるとより引き立ちますね。
 ゴッホの絵は本当に不思議だってことを、改めて感じた展覧会でした。