デビュー当時は才能溢れる音楽オタクという趣もあったKanye Westですが、前作の「808s & Heartbreak」ではアルタナティブR&Bといった全く新しい世界に突入。
そして今作。今までの要素をすべて詰め込んで完全にカニエ独自の世界を創り上げた感じ。もはやHIP HOPでもR&Bでもない世界が広がっています。
前半も流石の出来で、3曲目の"Power"とか"All Of The Lights"とか迫力あるトラックトラップを聴かせてくれますし、ゲストにJay-ZからBon Iverまで!ショービズ界のトップスターのJay-Zと音楽好きに注目されているインディー界のBon Iverを同じアルバムでゲストに呼ぶなんてカニエでなくてはできないことでしょう。
けれでもなんといってもこのアルバムのハイライトは後半に突入してから。8曲目の"Devil In A New Dress"の女性ボーカルのコーラスをうまく使ったトラックで、アルバムはまさに「Beautiful Dark Twisted Fantasy」といった世界に入っていきます。
そして9曲目の"Runaway"、これはすごい!
9分を超える大作なのですが、静謐さの中に響くピアノの不吉っぽい音から始まり、空虚感とポップさが入り交じったような不思議な世界を構築。冷たい白黒の世界に色彩や動きが広がっていくよな展開はまさに圧巻。今のところ、今年のベストトラックと言ってもいいかもしれません。
つづく"Hell Of A Life"もかっこいいですし、高半々は本当に隙がないですね。
今回はジャケットの絵もカニエが描いているのですが、ちょっと北野武を思わせるような独特の魅力のある絵で、とにかく絵にも自信が満ちています。
1st、2ndではクマの着ぐるみで登場したカニエですが、そのころのヘタレさは遥か彼方。いまや最も自信に満ちたアーティストという感じです。
けれども、それも納得のアルバムの出来です。
"Runaway"のPV。
PVも素晴らしい!バレリーナの群舞は圧巻です。