前回のエントリーに引き続いてスペインについて。
プラド美術館に収められた数々の名画やガウディの建築なんかはやっぱりすごかったわけですが、たんに「すごい!」って思うと同時にスペインの歴史についても考えさせられました。
建築については素人ですがちょっとした印象論を。
まずはガウディのサグラダファミリア。
こんな感じで、とにかく圧倒的な存在感がある。
この存在感は他のスペインのゴシック様式の教会に通じるものがある。
例えば、前回のエントリーでちょっと気持ち悪いとトレドのカテドラル。サグラダ・ファミリアの生誕のファサードと似ています。
これはバルセロナのカテドラルの内部。
このようにサグラダ・ファミリアは他のスペイン各地のカテドラルを参照して作られていると思うのですが、上の写真のようにどうしてもゴシック様式にはおどろおどろしい所があって、正直怖い。
しかも装飾として天使とかの偶像を多用するために、建物から人の顔が溢れてくるような不気味さがある。
ところが、サグラダ・ファミリアに関しては、ゴテゴテしているようで見た印象は意外にすっきりしていて、気持ち悪さや不気味さがない。
内部に関しても太陽の光を取り入れた明るさがあって、他のカテドラルに比べると解放感がある(グラナダのカテドラルは白が基調でけっこう解放感がありましたが)。
素人考えでは、幾何学的な模様と太陽の光を内部に取り入れているところが、サグラダ・ファミリアと他のゴシック様式のカテドラルの大きな違いだと感じました。
そして幾何学的な模様と太陽の光といえば、アルハンブラ宮殿。
イスラム教徒によって徹底的に偶像を排して装飾された内部は圧巻ですし、太陽の光を建物内部に非常にうまく取り入れています。
最後の写真のつららが垂れ下がっているような装飾はまさにサグラダ・ファミリアの生誕のファサードの装飾に通じるものがあります。
ということで、個人的にサグラダ・ファミリアというのは「ゴシック+アルハンブラ」何だなーと感じました(もちろん、アルハンブラというよりはイスラム様式、さらにはイスラム+ユダヤ様式と言ったほうがいいのかもしれませんが)。
スペインというのは歴史を感じさせる国ですが、それはイギリスのそれとは違います。
イギリスの歴史というのはそれなりに一貫した印象で(少なくともノルマン・コンクエスト以降は)、それは「伝統」と言っていいようなきがしますが、スペインの歴史には古くはローマの文化から、イスラムによる占領、そしてレコンキスタという大きな断絶があって、まったく違う文化が地層のように重なっているようです。
さらにそこにユダヤやジプシー、ロマの文化なども加わって、さまざまな文化が流れ込んでいるのがスペインの特徴でしょう。
そして、そんなさまざまな文化をうまく取り込みながらそれを独自の建築に仕上げていったのがガウディなのかと。
このスペインの歴史的な繋がりのようなものに関しては、プラド美術館の絵画を見たときにも感じたのですが、とりあえずここでは写真を撮ってきた建築についてで。
ちなみに今回のスペイン旅行で買ったガイドブックは以下の2冊。
スペイン (いい旅・街歩き)
いい旅街歩き編集部
A22 地球の歩き方 バルセロナ&近郊の町とイビサ島・マヨルカ島 2010~2011
地球の歩き方編集室
あと、次の会話本が小さくて便利でした(中身は物足りないかもしれないけど、こういうのは携帯性が大事だと思う)