『アーティスト』

 今更ながら見てきました。
 まあ、アカデミー賞受賞作ということで過度な期待を持って見に行くとやや肩透かしかもしれませんが、単純ながらも楽しくて魅力のある映画。
 主演のジャン・デュジャルダンと助演の犬がいいというのは見る前からよく聞いていましたが、ヒロインのペピー・ミラーを演じたベレニス・ベジョが魅力的!キュートでありながら、いかにも昔の女優でいそうな顔立ちで、落ちぶれていく主人公のヴァレンティンとは対照的にスターの階段を駆け上がっていくヒロインを見事に演じています。
 そしてダンスもできてラストのジャン・デュジャルダンとのダンスはキマってました。単純なストーリーなので、ジャン・デュジャルダンと犬だけで持つのかな?とも思ってましたが、ヒロインがその心配を払拭してくれた感じですね。
 先程述べたようにサイレント映画なので基本的なストーリーは単純で先が読めるのですが、それでもダレさせずに画面に引きつけるだけの仕掛けや役者の魅力があります。
 

 ただ、この作品がアカデミー賞がこの映画を作品賞に選んだというのはやや「保守的」に感じる。
 2009年に『アバター』ではなく『ハート・ロッカー』を選んだあたりからアカデミー賞の迷走感というのは否めないと思います。『ハート・ロッカー』はアカデミー賞が好きそうな作品であっても基本的にいまいちだと思いましたし、『英国王のスピーチ』、そして今回の『アーティスト』についてはよくまとまったいい作品であるのは確かだけどこれがNo.1なのか?という印象があります。
 ただ、そういったアカデミー賞云々といったことを考えなければ素直に楽しめる映画だと思います。