Regina Spektor/What We Saw From The Cheap Seats

 Regina Spektorはロシア出身で現在はニューヨークを中心に活動するシンガーソングライター。
 とにかく2006年発表のアルバム「Begin to Hope」が抜群に良くて、それ以来買ってます。
 ピアノを中心とした曲に独特のボーカルが乗るのがRegina Spektorの特徴で、特にまるで楽器を使うような声の使い方は他にない感じです。クラシック的な素養の深さも感じさせるのですが、それでいてアヴァンギャルドというか、奇抜というかで、美しいメロディと声を裏切っていくような展開もあります。
 ただ、前作の「Far」では「Begin to Hope」と既存の音楽を壊すような奇抜はやや影を潜めていて、全体的にきれいに仕上がってた印象がありました。
 今回のアルバムも前半はきれいな感じ。ただ、後半でRegina Spektorならではの奇抜さが爆発します。
 9曲目の"Open"の後半の唸りというかゲップというかは強烈。
 続く10曲目の"The Party"も盛り上がるポップソングなのですが、なんといっても耳に残るのは後半の♪ププププー♪の部分。子供の遊びにしか聴こえないようなものなんですけど、これがポップ。
 これだけ美しい曲をつくっておきながら、それをズラして壊すのがRegina Spektorの大胆さです。



What We Saw from the Cheap Seats
Regina Spektor
B007MDQW3W