奈良美智展「君や 僕に ちょっと似ている」

 昨日、横浜美術館で見てきました。
 以前、「ネオテニー・ジャパン ― 高橋コレクション」で初めて実物の絵を見た時、「奈良美智って絵がうまいんだな」っていうアホっぽい感想を持ちましたが、その印象は今回も変わらず。やはり奈良美智は絵が上手いんだと思います。
 もちろんダンボールとかにささっと描いたセンスのあるイラストのような作品もあるのですが、大きなカンヴァスに描かれた作品はどれも頭部の質感というか立体感が素晴らしい。だから体は適当でも絵が締まっているし、「深み」を感じるんですよね。
 今回の展示の最後に制作の様子を紹介した部分があって、はじめて奈良美智の絵の制作方法を知ったんですけど、最初の段階ではもっと陰影とかが描き込まれているんですよね。それでそれをどんどん塗り込めるようにツルツルにしている感じ。一見フラットに見えながら、質感を感じさせる秘密がわかって面白かったです。
 また、今回の作品には涙が溢れそうというか目が溢れそうな感じの印象的な作品が結構あって、それも「深み」や質感を感じさせる原因だったと思います。


 あと、「ブランキー」というタイトルのリーゼントの子供の絵があったので、ひょっとしたら「奈良美智BLANKEY JET CITYが好きなのか? 」と思いましたが、やっぱそうみたいですね。
 BLANKEY JET CITYについてのツイートがありました。
 

 ということで、あのリーゼントの子どもは浅井健一なのかな?


 そして今回の展示では大きなブロンズ像(主にあの女の子たちの頭部)もあったのですけど、こちらは絵にある質感がもっと荒削りにゴロンと出てきた感じ。
 奈良美智作品の特徴である赤ちゃん的な可愛さや不気味さがはっきりと出ていて面白いですね。
 さらに横浜美術館では、コレクション展で奈良美智の初期の作品も展示しています。
 伝統的な油絵とかと混じって展示されていてかなりのカオス状態なのですが、そんな中でも奈良美智の絵は目立つし、しっかりしていると感じました。


 奈良美智の絵はそこら中に氾濫している状態なので、わざわざ見に行かなくても十分だと思っている人も多いかもしれませんが、個人的には一度現物を見ることをオススメします。たんなるキャラクターもののようでいて、そうしたレベルに留まらない存在感があります。

 
君や 僕に ちょっと似ている
奈良美智
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