Lupe Fiasco/Food & Liquor II: The Great American Rap Album Pt. 1

 Lupe Fiascoの4枚目。真っ黒ジャケットに真っ黒ブックレットでアルバムについての情報がほぼ何も書かれたいないという大胆なデザインに名盤だった1st「Food & Liquor」を受け継ぐタイトル、しかもサブタイトルが「The Great American Rap Album」と銘打ってあって、かなり力が入った勝負作なんだろうと思わせますが、中身はある意味で地味。
 もともと若いのに落ち着きのあるラッパーという感じで、例えばJay-zのように豪華なゲストと派手なトラックをもってくるとは思ってませんでしたが、それにしても今作はぱっと聴いた感じでは落ち着きすぎている。その落ち着きってのは、Drakeの渋いんだか甘いんだかよくわからないような感じともまったく違っていて、「地味」といっていいほどのもの。
 2曲めの"Strange Fruition"なんかもストリングをシンプルに使ったトラックで、かっこいいけど地味。


 ただ、4曲目の"Around My Way (Freedom Ain’t Free)"なんかは抑えているけど実はかなり凝ったトラックでカッコイイ!
 Pete Rock & CL Smoothの名曲、"They Reminisce Over You"が元ネタというこの曲ですが、サックスのサンプリングとかビートの入れかたとかは非常に印象的。録音とかでもっといくらでも派手に出来る気もするんですけど、あえて抑えてます。
 この後に続く中盤の曲もあくまでもラップを聴かせることが主眼になっている感じで、トラックはそれほど目立たないようになっています。このへんが「Rap Album」と銘打った所以なんでしょうね。
 一方、後半にはLupe Fiascoお得意の歌ものにラップを絡める曲も用意されていてGuy Sebastianというシンガーと組んだ"Battle Scars"は、もともとの曲の良さと相まって印象に残る曲。
 あと、かっこいいのは15曲めの"Unforgivable Youth"ですね。このアルバムにしては派手なトラックでLupe Fiascoのラップもその派手さに負けずに存在感を放ってます。
 1stのようなキャッチーさはないですが、やや全体的にまとまりのない感じのあった前作なんかに比べると統一感もあって、落ち着いた中にもLupe Fiascoの意気込みを感じさせるアルバムです。
 


Food & Liquor 2: the Great American Rap
Lupe Fiasco
B008J2F3HG