2012年ベストアルバム

 今年は雑誌とかを見てみてもベストアルバムの上位が見事にバラけている状態で、あんま外せないヒットアルバムがなかった都市だと思いますが、もともと世間の流行とはずいぶん離れてしまったランキングなんで気にせず通常運転ということで。
 今年はベスト3は確定という感じで、他はそれほど差がないです。というわけでアルバム10枚+番外1枚をどうぞ。


1位 Of Monsters And Men/My Head Is An Animal

My Head Is An AnimalMy Head Is An Animal
Of Monsters & Men

Republic 2012-04-03
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 久々に新人で「これ!」ってバンドを見つけた感じ。Of Monsters And Menはアイスランド出身の6人組。アイスランドではずいぶん人気だったようですが、これがデビュー・アルバムで同時にワールドデビュー。
 Arcade Fireなんかが引き合いに出されていますが、北欧出身ということもあって透明感がってポップ寄り。でも、妙にアメリカのフォークに通じるような泥臭いような部分もあって、いわゆるキラキラポップみたいのとも違う。"Sloom"のメロディが素晴らしさとシンプルながら盛り上げてくる構成にはグッと来ます。


2位 Tilly & The Wall/Heavy Mood

Heavy MoodHeavy Mood
Tilly & The Wall

Team Love Records 2012-10-02
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 まさか今さらTilly & The Wallがこんないいアルバム作ってくるとは思わなかった。
 もともと学園祭のノリのような楽しくて無邪気な音楽を聴かせてくれるバンドで、2007年のサマソニでもダサくて素人っぽかったけど楽しいステージを見せてくれたものでした。ところが、今回はジャケからして病んでる。けど、病んでいるのにポップ。"Thicker Than Thieves"の病んだ疾走感はたまらないですね。


3位 THA BLUE HERB/TOTAL

TOTALTOTAL
THA BLUE HERB

THA BLUE HERB RECORDINGS 2012-05-09
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 このアルバムの「政治化」に関してはファンにも賛否のあるところでしょうが、個人的には評価したいです。けれども、震災に対する政治の対応を見て不満を持つのは当然だし、それをリリックに込めるのも至って自然。こういう状況の中でも「自分語り」しかなかったら、それはそれで問題でしょう。
 曲としては何と言ってもラストを飾る「RIGHT ON」。これを聴いた時の高揚感は半端ない。ラストの”これでトータル”の言葉にはキマってます。


4位 The School/Reading Too Much Into Things Like Everything

Reading Too Much Into Things Like EverythingReading Too Much Into Things Like Everything
School

Elefant Spain 2012-05-15
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  ウェールズ出身の8人組の2ndアルバム。12曲入りでトータル29分弱という、ストレートなポップアルバム。ほとんどの曲が1つか2つのアイディアだけで構成されていて、潔さを感じさせるほど。
 基本的にはオールディーズっぽい王道ポップソングで、斬新なところはないです。ただ、ボーカルのLizの声とそれにかぶるコーラスは相変わらずいいですし、単純なアイディアの聴かせ方が上手いです。


5位 The Lumineers/The Lumineers

LumineersLumineers
Lumineers

Dualtone Music Group 2012-04-03
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 コロラド州デンヴァーを中心に活躍するフォーク・ロック・バンドThe Lumineersのデビューアルバム。メロディはありきたりかもしれないですけど、ピアノやチェロを使ったアレンジがいいですし、代表曲とも言える"Ho Hey"ではコーラスをうまく使って独特のリズムを作り出しています。細かい部分がよく練られていて気持ちよく聴けるアルバムだと思います。


6位 Nas/Life Is Good

Life Is GoodLife Is Good
Nas

Def Jam 2012-07-17
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 最近のHIPHOPのアルバムではやたらにゲストを呼んだり、オートチューンを使ったりすることで変化や「新しさ」を出そうとすることが多いですが、このアルバムは直球勝負。よく練られたトラックにNasのラップが小細工なしにのっている感じ。Nasに関しては、前作の「Untitled」は個人的にはかなり好きだったのですが、聴きこんでいくと今作のバランスの良さが上回るかもしれません。まさに「王道」という感じのアルバムです。


7位 チャットモンチー/変身

変身(初回生産限定盤)(DVD付)変身(初回生産限定盤)(DVD付)
チャットモンチー

KRE 2012-10-10
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 チャットモンチーの5枚目のアルバム。何といってもドラムの高橋久美子が脱退して二人組になってからはじめてのアルバムということで、果たしてどうなっちゃっているのか?と期待と不安を持って聴いたアルバムでしたが、不安が的中した部分もあり、逆に吹っ切れてよくなったところもありといった感じですね。やはり二人でやれることというのは限られているわけで、前半はちょっとごちゃごちゃした印象ですけど、二人ということで変な気負いもなく原点回帰した感じの曲もあって、オリジナリティを頑張って出そうとしていた前作よりも素直に仕上がっているアルバムだと思います。


8位 Team Me/To The Treetops!

To the TreetopsTo the Treetops
Team Me

Propeller Recordings 2012-03-05
売り上げランキング : 21831

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 ノルウェー出身の6人組。Arcade Fireあたりを引き合いに出す人もいて、それもそうかなとおもうけど、個人的にもっと似ていると思うのは同じカナダのバンドのThe Most Serene Republic。あんまり知っている人はいないかもしれないけど、ボーカルの重ね方とか曲調を次々と変えていく感じが似ていると思います。長い曲が多かったり、ややメロディがダブったりする感じもあるんですけど、6曲目の"Dear Sister"のスウェーデンポップとBlack Kidsが合わさったようなキラキラ感はいいですね。


9位 Stars/The North

NorthNorth
Stars

Ato Records 2012-09-04
売り上げランキング : 19960

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 なんだかんだ言って最も好きなバンド言えるStarsの6枚目。「Heart」、「Set Yourself On Fire」、「In Our Bedroom After The War」の傑作群、あるいは前作と比べてもやや見劣りする出来であることは確かですけど、相変わらずAmyの声は良くて、"Hold On When You Get Love And Let Go When You Give It"のサビの部分で入るハイトーンのコーラスはいいですね。


10位 クリープハイプ/死ぬまで一生愛されてると思ってたよ

死ぬまで一生愛されてると思ってたよ(初回限定盤)(DVD付)死ぬまで一生愛されてると思ってたよ(初回限定盤)(DVD付)
クリープハイプ

ビクターエンタテインメント 2012-04-18
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 最近レンタルで借りてきたんでレビューも書いてないんですが、思ったよりも熱く、そしてナチュラルに貧乏臭く、さりげなく(でもないか?)下品な所がいいんじゃないかと思う。 万人受けする歌詞じゃないかもしれませんが、歌詞のセンスはあると思いますし、何よりも最近の男性バンドにはないエネルギーがある。今後注目していきたいですね。


番外 田中茉裕/小さなリンジー

小さなリンジー小さなリンジー
田中茉裕

AVOCADO records 2012-03-28
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 1993年生まれの現役高校生で2010年のEMIのオーディションで注目されたという新人・田中茉祐のミニアルバム。とにかく声に特徴があって、甲高く、だけど少しこもっているような声で、キンキンなようでどこかしら包容力を感じます。下手なエモバンドよりもはるかにエモい感じで良いですね。これはフルアルバムを期待したいです。


 まあ、相変わらず洋楽中心ですが、ここ最近日本のバンドでも凶作の00年代を超えてチラホラと面白いものが出てきたような気がします。なんか、ロキノン系の自分語りの呪縛にとらわれなくなったようなバンドが増えてきた感じで一時期あった閉塞感(BUMP OF CHICKEN藤原基央とかRADWIMPS野田洋次郎とかがカリスマ的に持ち上げられて自閉していく感じ)が薄れてきたような気がします。