「2012年の〜」シリーズも今日の映画で終わり。映画は作品数的には去年より見てますけど、結婚して国分寺から府中に転居したら都心に出て映画を見る気力をなくしてしまいましたね。というわけでだいたい近所のシネコンで見たので今年は見たのも邦画が多いです。というわけで映画を見ている人からするとぬるいランキングになります。
今年はここにあげた5本はすんなり選べたんですが、順位付けが至難の業。「これがダントツ!」という作品はなくて、よかった作品をなんとなく並べたランキングになりますね。
1位 『J・エドガー』
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後半は「老人のBL」といった趣きですし、今までのクリント・イーストウッドの作品と比較しても完成度が高いとは言えないですが、1年終わってみて一番頭にこびりついているのはこの映画かと。
FBIの長官に48年間君臨し、政治家たちまでをも盗聴し恫喝してきたと言われるジョン・エドガー・フーヴァーの人生を描いた作品でフーヴァーを演じるのはレオナルド・ディカプリオ。「情報こそが力だ」と宣言し、情報を使ってのし上がっていくフーヴァーの姿は「邪悪」になったGoogleのような存在で、現代にもつながるテーマを描いていますし、「隠れゲイ」だったと言われていたフーヴァーについても正面から描いています。
2位 『おおかみこどもの雨と雪』
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『となりのトトロ』と同じような設定ながら、そこに描かれているテーマはずいぶん違う。細田守監督があえて「ジブリの呪縛」を背負いつつ、そこから違った物語を紡ぎ出そうとした作品です。
宮崎駿の作品だと、崇高なのはあくまでも「自然」で、人間の「業」として「人間社会」を受け入れなければならないという感じが強いのですが、この『おおかみこども』では、「自然」の雄大さとともに、「人間社会」の良さが、雪の友人との関係や草平との淡い恋を通じて自然に浮かび上がるようになっています。
それを象徴するような雪がカーテン越しに自分がオオカミであることを草平に打ち明けるシーンは素晴らしかったですね。
3位 『桐島、部活やめるってよ』
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ガス・ヴァン・サントの『エレファント』のスタイルをなぞりつつも、今の日本の学校を非常の巧みに描いた映画。出ている役者の演技もいいですし(特に大後寿々花!)、原作よりも映画部の面々をより「濃く」描いて、「バカ」を前面に出すことによって、高校生たちの微妙なリアリティを出すと同時にエンターテイメントに仕上げています。
4位 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
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9.11テロで父親を失った少年の冒険を描いた映画で、原作はジョナサン・サフラン・フォアの評判の高い同名小説。それをもとに『フォレスト・ガンプ』や『ベンジャミン・バトン』の脚本家エリック・ロスが脚本を書き、監督は『リトル・ダンサー』や『めぐりあう時間たち』のスティーヴン・ダルドリー。脚本があまりにも「父と子」の話にフォーカスしているので、原作小説ほどの深みはないのですが、映画としてはよくできていると思います。特に主役の少年・オスカーはアスペルガーの疑いもあるようにややKYな子どもで必ずしもみんなから共感を得るタイプではないのですが、そのKYなところと子どもならではの純粋さが絶妙なバランスで演じられています。
5位 『ヒミズ』
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茶沢さんの家庭とか、ホームレスの暮らしぶりとか(さすがに神楽坂恵のようなきれいなホームレスはいないだろ)、この『ヒミズ』にはありえない設定があってどうかと思いましたし、あまりに過剰な感情の振幅とか、過剰な暴力描写とかについても正直しつこいとも思いましたけど、染谷将太&二階堂ふみの熱演と二階堂ふみが叫ぶラストは鮮烈。欠点は多いですけど、印象に残る映画ですね。
個人的には塩田明彦の『害虫』を思い出しました。個人的には塩田明彦の映画のほうが好きですが、ラストが投げっぱなしに近い塩田明彦の『害虫』に比べると、ラストを手垢のついたポジティヴなセリフで締めてみせた園子温は真面目だとも思います。