2012年の紅白歌合戦を振り返る

 年のはじめは紅白回顧。
 今年は何だか「演歌の死」を確認したような紅白だった気がする。
 特に紅組は石川さゆりだけが孤塁を守り続けているものの、一時期に比べればさすがに衰えていると思う一方で、水森かおり藤あや子香西かおり伍代夏子といったあたり前半で綺麗に消費されて空気状態。後半の紅組を支えたのはYUKIaikoいきものがかり。後半演歌ゼロでもなんとかなる、あるいは後半に演歌が入り込む余地が亡くなるような雰囲気になってきたと思う。
 白組は不動のエース氷川きよしがいるものの、森進一・イズ・デッドだったし、五木ひろしの扱いも一時期では考えられないほど軽いもの。北島三郎はもはやたんなる風物詩ですしね。


 それと以前から言い続けていることだけど、盛り上がる後半の中継はやめるべき。
 MISIAの歌は確かにすごかったけど、中継だと「どうせ前録りしてんでしょ」となるし、会場も白ける。別に会場で歌っているから口パクじゃないという事にはならないけど、例えば、美輪明宏の"ヨイトマケの唄"の歌の迫力とそれに飲まれている会場の雰囲気を見ると、MISIAがいくら中継で絶唱をしても勝てない。
 というわけでどうしても中継でやりたいなら第2部の前半でやっちゃうべき。


 勝敗に関しては、EXILE福山雅治北島三郎SMAPの白組のラスト4組が弱かったので紅組でもいいんじゃないかと思ったけど、嵐→美輪明宏のところで完全に白組が支配したので、白の勝ちでも仕方がないか。


 以下各歌手の短評


浜崎あゆみ→ 「金属疲労」という印象しかないので少し休んだほうがいいんじゃないだろうか?
NYC→ ええい、Sexy Zoneを出さんか、Sexy Zoneを!
中島美嘉→ 祝復活!だけど出番が早すぎでもったいない。
FUNKY MONKEY BABYS→ 今回の母親の名言「この人たちの音楽って何なの?」
藤あや子→ 曲名は"忘れない"だけど、聴いているそばから忘れた。
HY→ 実質紅組。男の方はどうでもいいけど女性ボーカルの声はイイ!
水森かおり→ あからさまな「ポスト・小林幸子」。でも、いらないと思います。
ナオト・インティライミ→ 毒にも薬にもならない空気。
細川たかし→ なぜか審査員の樹木希林が爆笑してたけど、ひょっとして樹木希林細川たかしのヅラを取った姿を知ってるんじゃないか?
舘ひろし→ あのセリフをはぶいてドラムも叩かないとスカスカな曲ではあるんだけど、それをもたせることのできるダンディーさはさすが!
森進一→ 一時期は日本の歌手の中でもっとも評価していたけど、今回で死んだ。森進一・イズ・デッド。歌が素晴らしかった頃の思い出を心に残しておきたいので、紅白はもう出ないでくれ…。


ももいろクローバーZ→ 勢いという点ではピカ一。この紅白だけでならAKBを上回るような勢いがありましたね。ファンの熱気もすごかったし。
五木ひろし→ 演歌勢にアイドルのテコ入れというのは紅白でよく見られる光景だけど、五木ひろしもそうなってしまうとはねぇ…。
斉藤和義→ 果たして紅白でどうか?とも思ったけどしっかりと仕事をした感じ。
氷川きよし→ 相変わらず声はいいけど、今年は曲がいまいちか。
嵐→ 前半に歌った"ワイルド・アット・ハート"は、嵐にそして紅白にピッタリの曲だったんじゃないでしょうか。
美輪明宏→ さすが、というか想像以上の迫力。今年のMVPということになるでしょう。歌というよりは演劇の世界だったような気がするけど完全に場を圧倒してました。
和田アキ子→ 美輪明宏のあとという貧乏くじ。"愛、とどきますか"と言われても届かないよな。
YUKI→ "プリズム"はどうなんだろ?って思ったけど、よかった!かなりつかみにくい曲ではあるんだけど、それを聞かせられる歌唱力がありましたね。
石川さゆり→ よかったけど、やはり絶頂期は過ぎてる。5年くらい前はもっとすごかった。
いきものがかり→ 見事にトリの大役を果たした感じ。スケール感の割に歌詞はスカスカな曲だと思うんだけど、それを補う吉岡聖恵の声量と声の伸び。決して上手いわけじゃないけどスケール感のある歌い手ですよね。
SMAP→ やはり年齢的に勢いは落ちてきた感じ。そうなると中居くんの歌唱力とかが気になっちゃうんだよなぁ…。


 ほんと、こう振り返ってみても、紅組にドリカムか安室奈美恵あたりが加われば演歌抜きでもなんとかなっちゃいそうなんですよね。