アメリカ・アイダホ州出身のマルチ・インストゥルメンタリスト、トレバー・パワーズのソロ・プロジェクトYouth Lagoonの2ndアルバム。デビューアルバムは全体的に壊れそうな繊細さとキラキラ感が満載の、まさに「若さ」を感じさせるアルバムでしたが、それに比べると今作はずいぶん堂々としていて凝っている。
例えば、2曲目の"Mute"なんかも以前ならもっと高音のシンセ(?)の音だけで「壊れやすい」世界をつくりあげそうなもんだけど、ここではギターなんかをいれて音に厚みをつけてきている。つづく3曲目のインスト曲"Attic Doctor"でもけっこうドラムが目立ちますし、繊細一本槍だった1stからずいぶん変化してきた感じ。
また、いろいろな楽器を入れたことで曲に変化がつくようになっているので1stよりもポストロックっぽい雰囲気がましたかもしれません。
けれども、音に厚みが出てポストロックっぽくなったことで失われたものがあるのも事実。これを「さらなる進化」と捉える人もいれば、逆に「ありがちな音になった」と感じる人もいるかもしれません。
ただ、そんな中では9曲目の"Raspberry Cane"は音の変化や厚みと、トレバー・パワーズのボーカルの繊細さが絶妙にマッチした名曲。1st派もこれは気に入ると思います。
個人的にはもう少しキラキラよりのほうが好みですが、"Raspberry Cane"のような曲を作れるならまだまだ期待出来ますし、繊細さとポップセンスを併せ持ったこの感じはありそうでなかなかないと思います。
Wondrous Bughouse
Youth Lagoon