Daughter/If You Leave

 2010年にヴォーカルのエレナ・トンラを中心にロンドンで結成された3ピースバンド。最初に聴いた時はソロプロジェクトみたいなものかと思いましたけどバンドなんですね。
 ここ最近、UKでは女性ボーカルの活躍が目立っていて、Adeleは別格としてFlorence & The MachineとかEmmy The Greatとか魅力的な歌い手が出ているわけですが、このDaughterのエレナ・トンラもそんな一人。
 ただ、Florence & The MachineがいかにもBjorkっぽい、ある意味でありがちな方向でスケール感を出しているのに対して、そういった派手さはないのに深いスケール感を感じさせるのが、このDaughter。
 MixをSigur RosやM83を手がけたKen Thomasがやっているとのことで、そのあたりがこのアルバムの音の広がりの原因なのかもしれませんが、この音の感じは新人離れしています。
 

 例えば、3曲目の"Youth"、出だしは最近ありがちなフォーックがかった曲なのですが、後半はギターとドラムによって曲が加速していき、音が広がっていきます。この盛り上がりはFlorence & The Machineのやや単調な派手さに比べると、よく練られていますし新しい気がしますね。
 4曲目の"Still"も沈んだ曲調ながら、どこかでリズミカルでもあり、たんなる「静謐」にとどまらない広がりがあります。
 また、バンド編成だってところもアルバム通して聴くとそのよさがわかって、7曲目の"Human"なんかは歌メロだけ追いかけているとけっこうありがちな曲だと思うんだけど、バンドとしてのアレンジが効いているからのっぺりした感じになってない。ラストの"Shallows"もラストへ向けたドラムとギターの入れ方が絶妙で余韻を残したままアルバムが終わります。
 とりあえず、このデビューアルバムもいいですが、うまく行けばさらに化けそうなこのバンド。今後も注目しておきたいです。



If You Leave
Daughter
B00AZM8IIY